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日本は決定力不足なの??

 日本でよく話題になる決定力不足。チャンスは作るのにゴールネットはなかなか揺れない。1月16日におこなわれたイラク戦でも、本田のシュートが3度もポストとバーを叩いた。誰か日本の決定力不足を解消してくれる選手はいないのか!?メディアも盛んに決定力不足を指摘する。

 では、何をもって決定力不足というのだろうか。そして日本は本当に決定力不足なのか。過去の試合などを参考にしつつ、日本人が考える決定力不足を覆す。

☆決定力不足の定義

 ネイマール、メッシ、バロテッリ、クローゼ・・・。世界の強豪チームには必ず「点取り屋」と呼ばれる選手が存在し、彼らは驚異的なペースでゴールを量産する。日本も香川や本田のように世界を相手に戦える選手も出てきたものの、点取り屋と胸を張って誇れるFWは過去も現在も存在しない。
「日本は中盤が豪華だが、最前線はパッとしない」というのが世界の認識だろう。これは私も認めざるをえない。しかし、点取り屋がいない=決定力不足とはならない。それは2010年から4年間続いたザッケローニ政権を見ればわかる。

 あまり知られていないが、ザッケローニ政権下での日本代表の1試合平均得点は3.単純に1試合に3ゴール奪っている計算になる。これは世界的に見てもトップスコアだ。ルーニーがいるイングランドも、ベンゼマがいるフランスもこれほど高い得点率は残していない。
 ザッケローニ体制下53試合のうち、無得点に終わった試合は11.この数字はかなり優秀だ。その中にはブラジルに大敗した試合(0-4,0-3)、尋常では無いアウェーでの戦いとなった北朝鮮戦(0-1)、ザッケローニが就任して間もなかった韓国戦(0-0)なども含まれ、攻めあぐねた試合は限りなく少ない。
 日本はチャンスを確実に活かしてきたのだ。ベルギー、イタリア、メキシコ、オランダ、コロンビア、コートジボワール、ウルグアイなど、世界の強豪と対戦した試合でも日本は得点を決めている。これで決定力不足と指摘するのはどうだろうか。

 日本人が言う決定力不足とは、チャンスを決めきれなかった時に使われる。その定義も曖昧だ。相手を崩す事が出来ず、強引に遠めから撃ったミドルシュートが決まれば決定力不足は解消されたのか?相手を完全に崩したにも関わらず、簡単なシュートを外してしまった場合は決定力不足なのか?
 この2つのシチュエーションの場合、後者の方がポジティブに捉えられる。強引に撃ったミドルシュートが毎回入るはずは無く、それよりは相手を崩し切っている方が良い。簡単なシュートを外す事が良いと言っている訳ではないが、強引なミドルよりは可能性を感じさせる。
 日本はほとんどの試合で決定機を数回作る力を持っており、そこまで悲観的に捉える必要は無いのだ。単純にゴールが決まれば決定力不足は解消されたという考え方は非常に危険である。

 2012年10月16日、日本はフランスと親善試合をおこなった。舞台はフランスのホームであるサンドニで、完全アウェーの状態だった。試合はフランスのフィジカルに圧倒され、89分間守勢に回る展開だった。日本が作ったチャンスは数えるほどで、勝てる見込みは無かったといっていい。
 しかしフランスが攻めに出てきた後半ロスタイム、日本はカウンターから香川がゴールを決めて1−0と勝利を手にした。強豪フランスからの勝利に沸いた日本だが、冷静に考えると決定機はゴールシーンのみだった。その1回を香川が確実に決めた訳だが、これは決定力不足解消と考えるのか?
 日本のメディアはフランス相手の金星を称賛したが、それよりも89分間相手に攻め続けられた事の方が問題だろう。香川のゴールが決まったからといって、「日本には決定力があった!」と考えるのは間違っている。
 10回決定機を作って決まった1点と、1回の決定機を決めた1点。どちらも1点だが、10回決定機を作れている方がポジティブだ。どんなに決定力のあるFWを備えていても、毎回1度のチャンスで決めきる事など不可能だ。チームとして多くのチャンスを作り、その中で確実にゴールを決めていかなければならない。