負傷の影響が濃いままでのプレーを余儀なくされた直後のFIFAブラジルW杯でも未勝利で惨敗。負傷を抱えてフル出場できない長谷部選手の起用法を巡っては当時のアルベルト・ザッケローニ日本代表監督に批判が集った。
しかし、どんな試合展開やどんな戦術にも対応でき、ミスも少ないキャプテンの復帰を、ザッケローニ監督は最後まで待ったのだろう。それを待つに値する選手であるパーソナリティの持ち主であるのも日本だけでなく、ドイツでも認められている長谷部だからこそだ。
そして、長谷部が積み重ねてきた経験をフランクフルトは見逃さなかった。「引退してもスタッフとして残って欲しい」との厚い信頼を見せてくれたクラブで加入1年目からレギュラーとしてプレー。初年度は決してタレントが多くはないチームが魅力溢れる攻撃サッカーで高い評価を受け、9位と躍進する原動力となり、自身はドイツ移籍後最多のリーグ33試合に出場した。
ただ、加入2年目となった今季は開幕前にフロントが揉めて監督交代があり、長谷部は再び右サイドバックでの起用が多くなった。チーム成績も芳しくなく2部降格圏内に沈み、残り9試合となったタイミングで再び監督交代。ただ、そのニコ・コバチ新監督が長谷部をボランチとして固定。すると、長谷部自身が第31節、マインツ戦でブンデスリーガでは約3年ぶりの得点を挙げ、続く第32節、ボルシア・ドルトムントでは決勝アシストを記録するなど2部降格濃厚の絶望の淵からチームの3連勝に大きく貢献。何とか入れ替え戦行きとなる16位でシーズンを終えた。
その因縁のプレーオフはすでに19日に第1戦が終了。フランクフルトのホームで行われた初戦は1-1のドローに終わった。第2戦は現地時間の23日、月曜日に行われる。
フランクフルトは副主将のDFマルコ・ルスに腫瘍がある事が判明。手術が必要なのだが、本人は出場を直訴して第1戦にも先発出場。長谷部とはヴォルフスブルク時代もチームメートだっただけに、日本人サッカーファンとしては長谷部はもちろん、ルスにも肩入れして第2戦を見守りたい!