ガンバはパトリック以外の選手でポゼッションできても、甲府は全員でポゼッションの意識を持たないといけない。だからこそ相手に合わせるだけの戦術はとらないので、マンツーマンで誰かにつくという守備もしないから守備練習もしない、というワケです。
ミーティングは守備中心 ”自分達のサッカー”に落とし込む
練習では全く守備練習はしないものの、「ミーティングでは守備中心」だそうで、コース・人・スぺ―スを局面や状況ごとにディティールを追求するアプローチは継続して日々怠らない。ボールホルダーをフリーにさせない事が第1なのは当たり前ながら、もしプレスに行けなくてもコースとスぺ―スを優先順位をつけてチーム全体で共有していく。そういう意味ではミーティングで守備力は積み上げて来たのかもしれません。
その上で相手対策もするわけですが、相手を封じるのが目的なのではなくて、それらを如何に“自分達のサッカー”に落とし込んでいくか?何に気をつけて自分達のサッカーを出していく必要があるのかを“相手対策”とも言えるのでしょう。
こういうルーティーンをする上で身についたのが、相手の長所に自分達の長所をぶつけたり、相手の短所に自分達の長所をぶつけられるようになったこと。もともと自分達のチームの選手個々の短所を組み合わせによる長所で補完する必要性があっただけに、それが対戦相手にチームとして適応できるようになったという事でしょう。
“100歳トリオ”という自虐的な呼称がついた盛田剛平(38歳)、阿部拓馬(27歳)、石原克哉(36歳)による1トップ2シャドーは得点を取るというよりも、守備のための攻撃をコンセプトにして来たこのチームだからこそ活きるユニット。4バックのCBやボランチとしては疑問符がつきながらも3バックの中央として大黒柱となっているDF山本英臣(34歳)も、チーム最古参ながら今まで適正ポジションが見つからなかった石原にしても、この甲府の3-4-2-1というシステムで、選手個々もチームも双方がマッチして最大値を引き出したと言えます。
「最も日本代表監督に相応しい」城福浩監督の未来を考える
城福浩監督やヴァンフォーレ甲府について、【前編】【後編】にわたって書き綴ってきましたが、城福監督は昨年限りで甲府を退任しました。
甲府からは契約延長を打診されながらも、「53歳となった自分の監督としての将来も少ないので、もっと上のステージや日本サッカーへ、または国際的に貢献したい」という理由をもとに甲府の監督を退任した城福さんは現在フリーとなって解説業をしております。
時を同じくして、ハビエル・アギーレ日本代表監督も契約解除となった今、日本人監督の日本代表監督就任が叫ばれています。しかし、メディアで候補に上がるのは、J1リーグ優勝を果たしたサンフレッチェ広島の森保一監督と昨季の3冠王者であるガンバ大阪の長谷川健太監督。
日本代表とは、アジアでは“強者”になりますが、世界に出れば“弱者”の戦いを選択する立場にあります。そういう意味では日本代表監督に相応しいのは、「Jリーグでの実績」ではありますが、それは必ずしもタイトル獲得とは言えないのではないでしょうか?
また、「国際経験」や、「代表メンバーの選考」という意味でも下部年代での日本代表経験がある城福さんが、「最も日本代表に相応しい日本人監督」だと僕は思います。
結局は外国籍監督が就任することになるであろう日本代表ですが、まず3年半後のロシアW杯で契約する必要があるのか?アジアでの戦いに限れば日本人の方が知ってる面があるので、現状は1年契約でも日本人監督を試す意味はあると思うのですが・・・。
以上、日本代表の監督について触れましたので、次回はそういった城福さんだけではなく、監督にまつわる事をまとめたいと思います。お楽しみに。