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ガンバ大阪 VS FCソウル ~ポゼッション+2トップの個人技で快勝

 そして、この日はFCソウルがKリーグとACLの“マスター”と言える元コロンビア代表の35歳のMFマウリシオ・モリ―ナや、アルビレックス新潟でもプレーしたブラジル人のエヴェルトン・サントスを先発起用し、明らかに攻撃偏重な陣容で挑んで来ました。

 この試合のガンバはやはり第1レグとは違い、アウェイゴールでの1-3により、アウェイゴールを活かし方を選択。しかし、J1リーグでの試合のように4バック+MF4人がリトリートして守備ブロックを組む事を優先する戦いというよりは、最低でもボールサイドのSBは攻撃に参加する事でボール支配を優先。綺麗めなサッカーをするFCソウルとはいえ、フィジカルでは勝る韓国勢に対する対策はむしろ“日本流”または従来のガンバスタイルでした。

 14分には大黒柱のMF遠藤保仁が不用意なボール捌きから相手に奪われての強引なドリブル突破にファウルでしか止められず、強烈な直接FKをモリ―ナに浴びる場面もありましたが、基本的には「ボールを大事にする」サッカーで時間を消化。それでいて、9分の宇佐美貴史からのスルーパスのようなクロスにパトリックが抜け出してボールを浮かしてのシュートは懸命にゴールライン上でクリアした相手DFに阻まれたものの、“最強2トップ”の個人技やキープ力でフィニッシュに繋いでいきました。

 そして16分、バイタルエリアの宇佐美にボールが入ると、ドリブルで左に流れながらDF4人を引き付ける事で相手DFやGKをブラインド(影)に使いつつ、宇佐美独特のタイミングで放った左足のクロスにパトリックが頭で合わせたシュートが決まってガンバが先制。2試合合計4-1。

 その後も1点リードの状況ではあまり試合に変化がないために同じようなゲームプランを継続。ただ、日本代表経験が豊富な遠藤や今野泰幸にミスが出てハーフカウンターを食らう場面も。そこは岩下敬輔が「自分で止める」と熱くならずに「組織で止める」ような冷静かつフィジカル的にも負けない強さで阻んでいました。42分には左クロスからの対応でPKを献上するが、モリ―ナが得意の左足で蹴ったPKが右に外れる幸運にも助けられました。

 さらに前半終了間際の45分、PK失敗から意気消沈したFCソウルの軽率なミスからカウンターを仕掛けて一気に人数をかけてゴール前へ。右サイドの阿部浩之からのグランダーのクロスは相手DFに当たってエリア内にこぼれるも、拾った倉田が落ち着いて右足で流し込んで追加点。2-0。2試合合計5-1。プラン通り、いや望外の展開となったガンバの2点リードで前半は終了しました。

余裕の試合運びで7年ぶりのベスト8も 変にオープンな展開となる課題露呈

 2戦合計4点のビハインドとなったFCソウルは後半開始からFWコ・ヨハン、53分にもFWシム・ジェヒョクをそれぞれこの日先発に抜擢した南米出身のエヴェルトンとモリ―ナに替えて投入。前半はガンバのポゼッションの前に同じような綺麗なサッカーに終始したものの、さすがに後がない状況でロングボールを放り込んで来るか?と思われましたが、逆にFCソウル流の普段着サッカーに切り替えて盛り返して来ました。

 そして、57分に選手交代があったガンバ右サイドを崩され、左クロスからユン・ジテが合わせたシュートが決まって1点を返される。2-1。2戦合計5-2。

 さらに65分にもFCソウルはFWを投入して早い時間帯に交代枠を全て使い切り、ガンバも54分の米倉の交代後はオープンで開けた試合になり、ガンバはもちろん、FCソウルにも好機が多いという出入りの多い展開となってしまいました。67分に宇佐美がピッチを去ってからはFCソウルの脅威の素がなくなり、その傾向は強くなって行ったものの、GK東口のポジショニングも冴えてスコアは動かず。しかし、このユルユルさは課題です。

 86分には速攻から左サイドを藤春が駆け上がっての正確なクロス。リンスが合わせて追加点を決めて3-1。2戦合計6-1に。追加タイムに1人存在感を示すユン・ジテの強烈なシュートにガンバ守備陣が一歩も動けずに失点(3-2)するも、そのまま第2戦も勝利。

 88分には高校2年生で16歳のMF堂安律が公式戦デビューを果たすなど余裕の試合展開で、2戦合計6-3でFCソウルを下したガンバがACL優勝を果たした2008年以来7年ぶり2回目のベスト8進出となりました。

 それでは最後に選手個々の個人採点と寸評をお楽しみください。