【マッチレビュー】シュートなしも「手応えを得た」前半
試合の方は「先制点を取って守り切る」“ウノ・ゼロ(1-0の意味)”の文化とスタイルが浸透したFC東京が序盤は先制点を狙って圧力をかけて来たものの、CSやクラブW杯など今月行われた6試合全てがタイトルマッチ級のビッグゲームを経験してきたサンフレッチェが難なく対応して次第に試合の主導権を握っていく。
15分過ぎからはボールを持ち始め、クラブW杯で自信をつけたMF茶島が、日本代表歴も豊富なDF森重真人とMF高橋秀人、右SB徳永悠平の3人の間でギャップをとって攻撃の起点を作る。そこから茶島自身のドリブルや左アウトサイドの清水航平のサイド攻撃やカットインでイタリア仕込みのFC東京の堅守を崩すにかかった。
しかし、序盤で動きの少ない試合は両チームともに「後半勝負」の意思を感じさせる展開に。特にサンフレッチェはパスワークで相手を崩す場面はあったものの、なかなかテンポが上がらず(確信犯的に上げなかったかも?)、結果的に前半はシュートなしで終えてしまう。
さらに37分、FC東京のMF米本拓司が左サイドから送った正確なサイドチェンジを、右サイドの高い位置まで駆け上がった右SB徳永が胸トラップから瞬時にクイックでグランダークロスをニアサイドへ供給。エリアに飛び込んだMF橋本挙人がニアで潰れてゴール前中央に流れたボールをFW東慶悟に押し込まれて先制点を許してしまう。しかも、このゴールは素晴らしい流れからだったが、「誰が観てもオフサイド」という曰く付きの得点だった。
サンフレッチェは前半シュートなしのままの1点ビハインドで折り返す事になった。
堂々と”世界3位”の実力を示す底力で逆転勝利
選手交代なしで迎えた後半。サンフレッチェはシュートなしでも「手応えはあった」という森保監督の言葉通り、開始早々にドウグラスの右サイドからのクロスにFW皆川がヘッドで合わせて初シュートを放つ。後半に入って明らかにテンポを上げ、立て続けにサイド攻撃から皆川の高さを活かした攻撃で決定機も作った。しかし、皆川はリバープレート戦に続いて決めきれず。動き出しも良く、ポストプレーやパスワークで絡めるようになった皆川の課題はそこだ。
森保監督は61分にその皆川に替えて、満を持してFW浅野を投入。浅野は投入直後の65分にバイタルエリアからトラップでボールを浮かしたハーフボレーによる右足ミドルシュートでポスト直撃弾を披露するなど自信に満ち溢れたプレーで相手を押し込む。押し込まれたFC東京は66分に先制点を挙げたFW東が2枚目の警告で退場処分に。
サンフレッチェはさらに74分にMF清水に替えてMFミキッチ、78分にMF茶島に替えてFW佐藤を投入。佐藤・浅野・ドウグラスと3人のタイプの異なるストライカーが前線に居並ぶ超攻撃的布陣で押し切る。
そして85分だった。ミキッチ投入により左サイドに回ったMF柏好文が入れた左からのクロスに、シャドーの位置にポジションを移した浅野が2列目から相手の日本代表CBコンビの間に飛び込んで放ったヘディングシュートが豪快に決まって遂に同点。
その後も一気に逆転を狙って押し込んだサンフレッチェだったが、そこは相手に守り切られて延長戦へ投入。ただ、延長戦に入っても躍動する浅野に対して、FC東京はゴールライン上で森重が“神業クリア”で間一髪失点を免れるので精一杯だった。