photo by C大阪堺L公式ブログ
C大阪堺LのFW宝田は、チームの劣勢を跳ね返したり、得点という形で結果を残すことはできなかった。
チームとしての特徴である素早い攻守の切り替えと、宝田の持ち味である裏への抜け出しは本来、非常に相性が良く、この日もボール奪取から間髪置かずにDFラインの裏を狙う宝田への鋭い長めのパスは出ていた。右サイドからアーリークロスや浮き球で長めのスルーパスを狙うのが多いのは、こうしたチームと左側のFWに位置する宝田の特徴から生まれているはずだ。
しかし、この日はあまりに単調だった。ドリブルでもパスでも、自らのシュートで得点も狙える左サイドMF松原志が前を向いてプレーする機会が少なかった事もあり、攻撃に関わる人数も少なかった。
そんな中、宝田は41分、相手陣内左サイドのスペースに蹴り出されたクリアボールを追い、相手DFから自らボールを奪う。そのまま角度のない位置から逆サイドネットを狙った惜しいシュートを放ったが、枠を外れた。
スコアレスで折り返した後半、スペースを消されて攻撃が停滞するC大阪堺Lは早い時間帯から選手交代を使って攻勢を仕掛けようと試みた。この積極采配により、宝田は63分という残り30分間をボランチとしてプレーした。長身でポストプレーもこなすが、ゴール前に放り込んだクロスを強引に叩き込むような強靭さは確かにないし、得点の欲しい時間帯でシュート力というキック力を活かすならボランチ起用もアリだと思う。
しかし、ボランチ=宝田は後方で止まったままゴール前には顔を見せず。かと言って、守備では軽い対応も多くて狙い目になってしまっていた。宝田より2学年若いFW田中智子の投入により、宝田がボランチへ下がる布陣変更はこれまでも何度か見られるが、正直何が狙いなのかが全く見えて来ないし、彼女自身もそこにモチベーションを見いだせているようには見えない。
男女問わず、日本サッカー界から正真正銘のストライカーが台頭しにくくなっているのを、遂に現れた本格派ストライカー=宝田の起用法で何が暗い部分が見えたのが残念に思えた。
課題が全て伸びしろでもある、17歳の宝田自身も、まだまだ足りない部分が多いからこそ、このような起用法にもなるのだろう。実際、彼女自身も昨年のFIFA-17W杯ではFWではなく、MFとして出場してもいた。
フル代表となる、なでしこジャパンへの招集は時期早々か?まずは今年の10月に中国で開催されるAFC U-19女子選手権2017でアジア制覇を狙い、上位3カ国に与えられる来年8月開催の2018 FIFA U-20女子W杯フランス大会出場を目指す。そして、準優勝に終わったU17W杯を越える結果を残すのが、日本代表としての彼女の現在地になるだろう。