【2017プレナスなでしこリーグ2部・チャレンジリーグ入替戦・第1節】
開催日:2017年12月9日(土曜)13:00 KICK OFF
会 場:京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場(京都府)
観客動員:1277人
バニーズ京都 4-2 吉備国際大学
【得点者】<バニーズ京都>松田(2分、PK)、西川(37,57分)、吉田(79分)
<吉備国際大学>逸見(7分)、西園(59分)
ホーム&アウェイの2試合で行われる、『プレナスなでしこリーグ2部・チャレンジリーグ入替戦』。チャレンジリーグ2位のバニーズ京都SCがホームの西京極に、なでしこリーグ2部9位の吉備国際大学Charmeを迎えた。
吉備国際大学は地域に根差すクラブチームとして登録され、社会人選手や外国籍選手も在籍している。2013年から2年間はなでしこリーグ1部にもいた。つまり、バニーズ京都から考えると“格上”となるチームである。ただ、西京極に帯同したメンバーには、外国籍選手のDFシャノン・マッカーシーやメキシコ代表FWテレサ・ノヨラ、社会人のMF関口真由といった今季の主力として戦っていたはずのメンバーが帯同していなかった。
バニーズ京都の千本哲也監督や選手達は、「個人の能力が高い彼女達がいる想定で準備はして来てはいましたが、相手に合わせることよりも、まずは自分達の良さを出して戦うことが優先」と、3年以上積み上げて来た攻撃的な姿勢を貫いた。
そこには、9月30日の『プレナスチャレンジリーグ【プレーオフ順位決定戦1~4位】』シリーズの最終節・FC十文字VENTUS戦に2-0で勝利し、入替戦への出場権を勝ち取って以降の2カ月、皇后杯1回戦で競り勝った2部5位のニッパツ横浜FCシーガルズ戦、同2回戦で善戦しながら2-3と惜敗した1部6位の長野パルセイロレディース戦、直近で練習試合をした1部2位のINAC神戸レオネッサ戦など、“格上”との戦いをこなして来た中で得た手応えもあった。ただ、「“質”の高いチームは決定機をきっちりと決めて来る。ウチにはそれが足りない。だからこのレベル。でも、だからこそチャンスを多く作る方向で入替戦も戦って行こうと思った」(千本監督)という背景があった。
お互いにチャンスが多い試合展開となり、両チーム合わせて6ゴールが生まれたスペクタクルなゲームは、Jリーグの前後座試合ではないにも関わらず、1277人の観客動員を集めていた。最後は敗れた吉備国際大学の選手達が涙を流す選手もいる中、悔しさを抑えながらもバニーズ京都のサポーターの前で一礼。多くの観客が試合内容と同じく清々しい気持ちで大きな拍手を両チームに送る“女子サッカーの勝利”で締め括られた1日となった。
選手達自身で修正してリードを奪った前半
試合はキックオフ早々、この入替戦へ向けての地元TV局の取材で、「3得点獲る」と宣言していたFW吉田早紀がペナルティエリア内まで果敢なドリブルで仕掛けてPKを獲得。これをエースナンバー10を背負う大黒柱のMF松田望が難なく左足で決め、2分という早い時間帯でバニーズ京都が幸先よく先制に成功する。
しかし直後の7分、相手の右サイドからのFK。ゴール前へのクロスをクリアしたこぼれ球を拾われ、吉備国際大学のMF逸見桃子の豪快なミドルが炸裂。いきなり同点にされてしまう。バニーズ京都は23分にも、右SB草野詩帆のミドルシュートがクロスバーを直撃し、こぼれ球にFW佐藤莉奈も狙う決定機もあった。ただ、チャンスが多かったのは相手も同じで、序盤は出たり入ったりの落ち着かない試合展開となっていた。
「チャレンジリーグのチームがほとんど<4-4-2>のチームばかりなので、当然準備はしていたものの、実際試合が始まってからは最終ラインの数合わせで手間取った。」(バニーズ京都・千本哲也監督)。<3-4-2-1>のシステムを組む吉備国際大学は前線へボールを入れる際に、その1トップ+2シャドーに両ウイングバックの5人が最前線に並ぶ。そのため、バニーズ京都の4バックだけでは人数が足りなくなるのだ。
それでも、「アンカーの澤田由佳が周囲に指示を出したり、指を出す方向、指示を出す相手を見ていたら、彼女達自身が試合の中で修正している姿が見てとれていました。だから、ここは選手達を信じて任せようと思っていました。」(千本監督)。その言葉通り、前半30分頃から選手間の距離やポジショニングがハマり始め、バニーズらしいパスワークも出始めて主導権を握り始めた。