36〗Başakşehir Fatih Terim Stadium / イスタンブール

隣でなくてもは共催できるが 隣を選べない旅客機の悪夢

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今でこそリラといえばトルコだが、€に変わるまではイタリアの通貨としての印象が強い。ローマからイスタンブールは、陸路にして二千二百キロ。民族も言語も異なる両国の通貨単位が同じだったのは未だ謎のまま。ラテン語で天秤を意味するlibraが語源だとすると、十九世紀半ば~二十世紀初頭に西欧の言語を取り入れて“新オスマン語”が誕生しており、単なる偶然なのか。次回の英国大会は兎も角、2032年のUEFA欧州選手権はこのトルコとイタリアの共同開催には誰もが驚きを隠せなかった2023年の発表。共催の場合はお隣に限るル-ルはいつの間にか撤廃されていたらしい。長距離フライトの場合、航空機内でお隣が誰になるのか気になるところ。前回の搭乗時、最後から二番目に機内へ。最後のパッセンジヤ-は、若くて可愛いイタリアのシニョリーナ。自分の席の横が空いていたのでこれはラッキ-かと思いきや、彼女は別の席だったらしく自分の横は無人くんに。
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さて何の手違いか彼女は、中国人夫妻の間に挟まれている。三席並びでおそらく奥方が窓側、旦那が通路側をリクエストしたから、彼女が予約した時には真ん中しか残っていなかったのだろう。無言ならまだしも、この中国人夫妻が会話を始めたからたまらない。しかも同国では普通の大音量で有り得ない。挟まれている彼女の心境は果たして。おそらく日本人であれば99パ-セントの人が席を代わるのではないだろうか。筆者がこの夫婦ならば、自分が窓際にいって女性二人が並ぶように配慮する。一人旅だから機内や列車内で気を利かせ席を変わる機会は多いせいか、いたたまれない気分に。自分も身長は高くないが、隣の女性が自分より小柄ならば頭上の収納棚の荷物の出し入れについて、「May I help you」と声をかける。これは自分の中での《常識》。
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瀟洒な制服のターキッシュとアリタリアとエティハド

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三年間の工期を経て完成した新国際空港のお披露目にあわせ、創立八十五周年のターキッシュ エアラインズが客室乗務員制服を一新したのは2018年。イタリア人のエットーレ·ビロッタ:Ettore Bilottaとのコラボ作品。ミラノを拠点に活動するビロッタ氏は二年前(’16)年には母国のアリタリア航空の制服も手掛けている。他にもエティハド航空や一昨年のクウェート航空と何故か航空会社から引っ張りだこのファッションデザイナー。
制服を一新したものの五年後の’21年新型コロナウイルス感染症の世界的流行の直撃を受けて七十四年の歴史に終止符がうたれたアリタリア。フラッグキャリアの旗ならぬ襷は現在のITAへと引き継がれた。実はアリタリアは’14年経営不振を理由にエティハド航空に株式の半分を売却し傘下に。しかし傾いた業績は持ち直すことなく親会社のエティハドも苦境に追い込まれ手放す事に。そのエティハド空港の欧州線も何度か利用したことがある。アラブ首長国連邦=UAEの航空会社ならばフットボールファンにはアーセナルのスタジアムやレアル·マドリーの胸ロゴなどでお馴染みのエミレーツ航空。1985年創業でドバイ国際空港を中心にネットワークを構築している。アブダビ国際航空を拠点とする同国第二の航空会社エティハド航空が誕生したのは2003年。当初はライバル視していた両社も今は協力体制に方向を転換している。
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イスタンブール·バシャクシェヒルFK=IBSSKのアウェイユニフォームの胸には昨季まではターキッシュ·エアラインズのロゴがあった。そして’22年からUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の公式スポンサーにも名乗りを上げたのがトルコのフラッグキャリア。世界百二十を越える国とのネットワークで、現在就航国数においては世界最多の同社。2016年のUEFA欧州選手権でパートナー企業の実績を重ね一業種一社の狭き門であるCLスポンサーに航空業界からは初のエントリー。
上の機体のモデルはファンショップで撮影。スタジアムと連結した建物にあるこのお店のレジカウンター。その後ろに並べられたマフラーのコレクションが見事に掲げられている。一番右端にはインディアンの横顔。昨季撮影した写真のためUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)。KAAヘントとのラウンド16で対戦した際の記念の品が最後になっているが今季もECLに参戦しており国際舞台の経験は意外と豊富。
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