現在のセリエAのトップ2の直接対決であり、ともにCLを戦っていて、
代表を引退した選手もいるとはいえ主力はイタリア人であり
イタリアサッカーのポテンシャルを、その可能性を持っている両チームが
無敗の状態で対決することになった。
ユベントスはピルロが初スタメン。
ここまで来てはアッレグリ監督との確執などに気を使っている場合ではない。
ローマにはCLで初ゴールで調子が良く、変幻自在のパス供給源のトッティや、コンディション好調のジェルビーニョなどがいてローマの攻撃陣がどのようなプランでくるか読みにくい。
経験豊富な選手が多い両チームだけに、事実上のイタリアダービといえる。
だからこそそこは落ち着いてじっくりを味のある試合を期待した。
ただし肝心の人が舞い上がっていた。
ジャンルカ・ロッキ。
この試合の主審である。
PKが3回もあり、カードもイエロー7枚、レッド2枚、ガルシア監督も退席になった。
3−2でホームのユーベが勝ったこの試合、なにか色んな意味で「古き悪しき伝統」をみたような感じだった。
自分の目を信じるならば、ファールそのものはあった。
しかしそれがカードやPKに値するものかどうかは疑問だらけだ。
最初のマイコンのハンドもエリアの外が何故か後で判定が変わりPKとなった。
試合後トッティは『コリエ・デッロ・スポルト』次のようにまくしたてた。
「この一戦はすごく注目されていたけど、ユヴェントスは別のリーグを戦うべきだ。いずれにしたって常に勝つんだからね。今日の映像が明確に物語っているだろう。イタリア全土が、今僕が言っていることを言いたいはずだよ。彼らの3ゴールは正当なものではなかった。彼らの場合、疑わしい場面はPKになり、逆はそうじゃない。僕に対するPKは明確だった。技術導入を急ぐべきだ。」
『メディアセット』でも自分の引退と絡めてこんな話をした。
「引退したら、もっと簡単に話せるだろう。ローマは屈しない。でも、スクデットを約束してサポーターを振り回すことはしたくないんだ。これじゃあ勝てないからね。何があったかは、みんな目にしたはずだ。ユーヴェがいる限り、僕らは常に2位止まりだよ。以前も言ったし、ずっと言うけど、彼らは別のリーグを戦うべきだ。僕らも競争力があるけど、彼らと対戦するといつもこういうことが起きる」
トッティの歯がゆい発言に心を痛たくなる。
彼が言っているのは2006年5月に発覚したカルチョーボリを匂わせているのだ。
世紀の八百長事件のと言われるこの出来事は、ユベントスを中心としイタリアサッカー連盟や審判員を巻きこんで多くの人がサッカー界から追放され、当のユベントスはセリエBに降格、スクテッドも剥奪された。
このとき今回の主審ジャンルか・ロッキも起訴段階と第1審では5年の停止活動とされたが。
最終的には無罪となった。
個々の結末はどうであれ、この事件がイタリアサッカーそのものに大きなダメージがあたえた。
多くのイタリア人ファンが腐敗した自身のリーグを嫌気をさしたため
減少傾向にあったスタジアム動員は更に減少した。
この事件をきっかけに有力な選手もセリエAから離れた。
そのためUEFAランキングもクラブ、カントリー共に下がった。
トッティはユベントスを攻撃してるが、これは単なる過去の因縁からくるものであろう。
またジャンルカ・ロッキ主審も過去の経緯があるので、気を使いすぎてこのような試合になったのかもしれない。
ただイタリアサッカーがまだカルチョーボリの怨霊に覚えているとしたら
この試合でこそ完全に晴らすべきだった。
そうでないと「古き悪しき伝統」の疑いを脱出することができない。