一方アンデルレヒトは一人目の大ベテランのヤン·フェルトンゲン:Jan Vertonghen【1987年4月24日】がまさかの失敗。同国A代表最多記録保持者は、アヤックス時代に何度もAFASスタディオンのピッチを踏んでいたのだが。
今季のAZは既にのタイトル(カップ戦)をひとつ逃したと冒頭述べたが、リーグ戦の順位表に目を向けると現在六位とこちらも芳しい成績とは言い難い。所属選手の平均年齢は二十四に満たない今季。ベンフィカに千八百万ユーロで売却したパヴリディスの穴埋めには二十三歳のアイルランド代表トロイ·パロット:Troy Daniel Parrott【2002年2月4日生】を獲得。七百万ユーロ=約十二億円を残し英国へと去った菅原の後釜はセレッソ大阪から八十万ユーロで毎熊 晟矢:Seiya Maikumaを補強。選手の出入りはこの程度、つまり若手主体の既存メンバーの成長を期待してシーズンの臨んだ。一年目とはいえ二十七歳の毎熊は中堅の立ち位置となる。
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守備の要 精神的支柱は ファン·ハールお気に入り カップ戦決勝のリベンジなるか
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そんなチームを牽引する大ベテランがブルーノ·マルティンス·インディ:Bruno Martins Indi【1992年2月8日生】三十三歳。フェイエノールトの下部組織出身の彼も前回述べたナイジェリアのU-17ワールドカップ出場メンバ-のひとり。半年後にはU19欧州選手権予選、更に二年後はU21を飛び越してワールドカップ予選四試合にスタメン出場するとブラジルでの本大会でもレギュラ-として活躍。代表監督再任のファン·ハールから絶大なる信頼を得て新生オランイェの象徴となったセンタ-バック。上写真の英プレミア:ストーク·シティ移籍後の不遇から代表チ-ムとの疎遠がいっ時続いたが’20年のレンタルから翌年AZへの完全移籍。FIFAワールドカップ·カタ-ル大会を目指し三たびオランダ代表監督就任のファン·ハールが、’22年にマルティンス·インディを招集したのは記憶に新しい。三十歳の節目で五年ぶりの代表復帰を果たしたのがカーディフで撮影した下写真。
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それにしても今季に先駆け放出したパヴリディスは二百五十万€でヴィレムⅡがら獲得したストライカー。’17年にズヴォレからフリーで獲得したラインデルスをミランに二千万€で売却したのが昨季前。極めつけは21年、カストリクム出身のトゥーン·コープマイネルス:Teun Koopmeiners【1998年2月28日】、アムステルダム出身のマイロン·ボアドゥ:Myron Boadu【2001年1月14日】、更にケルヴィン·ステングス:Calvin Stengs【1998年12月18日】とユースで純粋培養された三人で四千六百万ユーロもの移籍金を獲得しているが、このクラブの成功はやはり地理的なアドヴァンテージが大きい。現在アムステルダムの人口は約九十三万人、二番目のロッテルダムが六十七万人、デン·ハーグが五十七万人、ユトレヒトはアムステルダムの半分に満たない。ロッテルダムには、フェイエノールト、スパルタ、SBVエクセルシオールの三つのプロクラブが存在するのに対してアムステルダムにはアヤックスのみ。結果アヤックスで受けきれない多くの才能がAZへと流れ今や“第二のアヤックス·ユース·アカデミー”として認識されている。
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第三の男は自転車のペダルを漕いできた
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前回で述べたスタジアムの所有権も2017年に戻りその後も改修作業も頻繁に行われ、財政的に安定しクラブも成長を感じるAZアルクマール。そのAFASスタジアムの名物と言ってもよいのがこちらの駐輪場。試合当日自転車で溢れる光景は壮観にさえ感じる。自転車王国オランダやデンマークの他スタジアムでもこれだけの数は中々お目にはかかれない。
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