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祝・入替戦進出~バニーズ京都を完勝に導いた選手主体のサッカー 【プレナスチャレンジリーグ≪プレーオフ順位決定戦1位~4位»第3節】

【プレナスチャレンジリーグ≪プレーオフ順位決定戦1位~4位≫第3節】
開催日:2017年9月30日(土曜) 19:30 KICK OFF
会場: 京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場(京都府)
観客動員:538人
バニーズ京都 2-0 十文字VENTUS
【得点者】<バニーズ京都>草野(51分)、澤田(76分)
≪公式記録PDF(なでしこリーグ公式HPより≫

「僕は何もしていません!」

 試合後にそう述べたのは、この日の勝利で2部9位チームとの入替戦進出を決めたバニーズ京都SCの指揮官・千本哲也監督。

「彼女達が主体的になって“勝つために必要なプレー”を選択する。そのためのアドバイスを客観的な視点からするだけです。」

 理想的な試合運びが出来たわけではなく、決定機でシュートが外れるなど“ツキ”もあったようには見えなかったが、選手達自らが夜空の“月”に成り上がるような結果的な完勝は、積み上げたチーム力の確かさを感じさせる勝利だった。

WEST独走優勝も、2位での入替戦進出を狙うバニーズ

 『2017プレナスチャレンジリーグWEST(3部相当)』で開幕から11戦無敗のまま4試合を残して初優勝を決めたバニーズ京都SC。チャレンジリーグは全15試合制という短いコンペティションであるため、如何に独走していたかが窺える。

 しかし、独走優勝したにも関わらず、迎えた『プレナスチャレンジリーグ≪プレーオフ順位決定戦1位~4位»』シリーズではホームでの初戦・大和シルフィード戦に勝利したものの、迎えた第2戦の敵地で、静岡産業大学磐田ボニータに4-0と大敗。翌週の最終節となる第3節でも勝利した静産大はプレーオフ3戦3勝として、来季のプレナスなでしこリーグ2部への自動昇格を決めた。

 一方、バニーズは台風18号の影響で第3節・FC十文字VENTUS戦が中止となり、その後は皇后杯関西大会や、愛媛県で10月2日から5日の期間に連日行われる『第72回・国民体育大会』に参加する「京都府選抜チーム」に9割を占める選手がエントリーされているため、超がつくほどの過密日程の中でなかなか延期試合の日程も決まらなかった。

 そんな中でも、バニーズの選手達は平日ナイターも含めた皇后杯関西大会では9月24日に優勝を決め、直後に延期試合となる十文字戦が9月30日に開催される運びとなった。尚、この試合は同会場での15時キックオフでJ2リーグ第35節、京都サンガVSジェフユナイテッド千葉の後に開催される“ダブルヘッダー”となった。

【プレナスチャレンジリーグ/プレーオフ概要】

 そんなチャレンジリーグは全12チームを東西で分けて3回戦総当たりの全15試合制のリーグ戦を行った後、順位決定戦となるプレーオフが開催される。この日の試合は、EAST/WESTの各1・2位による【プレーオフ順位決定戦1~4位】の第3戦である。このプレーオフの結果、1位は来季からのプレナスなでしこリーグ2部に自動昇格となり、2位は2部・9位チームとの入替戦に回ることになる。また、このプレーオフは1回戦総当たりの全3試合制のため、EASTとWESTの首位チームがホーム開催の試合を2試合戦えるアドバンテージとなる。

 上記したように、すでに通常開催された他会場の結果により、静産大の優勝と2部昇格が決まっており、第1戦で勝利したバニーズは勝点3の暫定2位。勝点1で暫定最下位の十文字との最終戦に挑んだ。尚、大和Sは勝点1で全日程を終えたため、3位以下が決定している。

手を替え品を替え、流れを掴んだ前半

 司令塔のMF澤田由佳が、「毎年、順番に個の能力を持った選手が入ってきていて、人は揃ったと思っている。今季が最も昇格の可能性を感じている」と語る“鉄板メンバー”11人が揃って先発したバニーズ。ただ、開始から15分ほどは堅い入りを見せ、本来の華麗なパスワークは見られなかった。

 この試合で引き分けても入替戦進出のステージへ“勝ち上がれる”ため、まず失点だけはしないためにもチーム全体の重心は低めに設定されていた。「『スカウティングで相手の2トップが前に残る』と分析が出ていたので、DFラインやアンカーの私はそこを管理しながら」(MF澤田)試合を進めており、MF陣がFWを追い越すような場面は皆無だった。

 ただ、バニーズは良くも悪くも引いて守れるチームではない。自慢の快速3トップを武器とする<4-3-3>のシステムを継続採用しているバニーズだが、相手ボールの際は10番を着るテクニシャンであるトップ下のMF松田望が前線に繰り上がってプレスを先導し、両サイドのウイングがサイドをケアする<4-4-2>の陣形で浅い位置に守備ブロックを組む。その上で常に“前へ向かって守備”をするのだ。この日は攻撃で前に連動する回数が少なかったが、そのぶん前へ出るボール際の守備は激しかった。前のスペースを埋めるようにプレッシングを連動させ、この日はチーム全体の重心が低めだった事もあり、奪ったボールはシンプルにロングボールを使う反転速攻も活きた。

 相手の十文字のDFラインは高めに設定されていたが、中盤中央の密集地帯は堅く組織されていた。そのため、バニーズは「分析で相手のCB2人にスピードで絶対に勝てると分かっていた」(千本監督)センターFW西川樹にカウンター時にはサイドに流れさせて起点を作らせ、最終ラインから手数と時間をかける遅攻では右・吉田早紀、左・佐藤莉奈の両ウイングがサイドのスペースを狙うシンプルな攻撃を多用した。

 前線のスペースを活かし、相手にサイドの脅威を意識させたバニーズは前半が残り10分程となった時間帯から押し込み始め、緻密な中央突破まで披露。40分にはスローインから右FW吉田が突破してのグランダーの折り返しに左FW佐藤が豪快に右足ボレー。42分には中盤からFWのポストプレーを絡めた連動したパスワークでぺナルティエリア内を崩し、右FW吉田がハーフボレーをお見舞いする場面も。

 先制点こそ奪えなかったが、リスクを冒さずとも手を替え品を替えながら試合の主導権を握ったバニーズ。“勝ち上がり”へ向けて上手くいなした前半はスコアレスで折り返した。

「サッカーとはこういうモノ」なセットプレーからの2発

 この試合で勝てないと入替戦進出の可能性がない十文字は後半、今年1月の『第25回全日本高等学校女子サッカー選手権大会』で十文字高等学校を優勝に導いたMF蔵田あかりを投入。現役高校3年生の超逸材の投入で勝負を仕掛ける。

 そして、相手の後半の出方に合わせるかに見えたバニーズだったが、「サッカーってこういうモノ」(千本監督)との言葉通り、あっさりと先制点を奪う。51分、右CKをジャンプ1番の高い打点で合わせたのは、右SB草野詩帆。セットプレーからの強烈なヘディングで均衡を破った。実は前半18分頃には右CKから大胆にも直接ゴールを狙って惜しいキックを披露していた左SB酒井望の高精度なキックも光る、両SBによる値千金の先制点となった。

 引き分けても勝ち上がれるバニーズは先制点を奪った事で余裕も生まれ、MF澤田やDF山本裕美が前掛かりになった十文字のプレスをいなしながら、相手の背後のスペースを突きながら巧みに試合を進めた。

 そして76分、再び酒井望の右CKからだった。シュートブロックに遭いながらも、混戦の中から冷静に右足で叩き込んだのは、MF澤田。もともとは攻撃的MFながら、現在はそのゲームメイク力を守備的MFとして活かしつつ、この日は勝ち上がりのために攻撃参加を自嘲していた司令塔のひと蹴りで試合の大勢が決した。

 2点リードの終盤、守備のタスクに個人での仕掛けと、フルに走り回った快速3トップを段階的に交代させながら時間を進めたバニーズ。「後半に足が止まったり、失点してしまう癖がある」(澤田)という部分も、最後までボール際の激しい守備も浸透させながら、しっかりと修正。

 「流れの中から決定機はあまり作れなかった」(澤田)が、終わってみれば完勝。スタイルは変えずとも、チームの引き出しを増やしながら積み上げて来たモノの確かさを感じさせる力強い勝利だった。

入替戦の対戦相手は岡山ダービーで決まる!

 この勝利でプレーオフ3戦を2勝1敗としたバニーズは2位となり、ホーム&アウェイで開催される2部・9チームとの入替戦進出が決まった。対戦相手は10月7日のなでしこ2部・最終節、勝点17で9位のFC吉備国際大学Charmeがホームに勝点18で8位の岡山湯郷Belleを迎える“岡山ダービー”での直接対決で決まる。(以下、順位表を参照)

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〇岡山湯郷Belle・亘崇詞監督の言葉で振り返る″岡山ダービー“【プレナスなでしこリーグカップ2部第8節、岡山湯郷Belle vs 吉備国際大学Charme】

【バニーズ京都SC 今後の試合日程】

≪第39回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会≫
本大会1回戦は10月28日に開幕。(対戦相手・未定)
決勝は12月24日(大阪開催・競技場調整中)。
≪2017プレナスなでしこリーグ2部・チャレンジリーグ入替戦≫
対戦相手、2部・9位チームとのホーム&アウェイ戦(対戦相手・日時未定)
詳細はクラブ公式コンテンツにて。

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