ドイツ期待のFWが長期離脱、監督交代と続き、攻撃陣再構築中
そして、開幕後に緊急補強をせざるをえない理由は、ドイツ全体が期待を寄せるFWダニエル・ギンチェクの存在だ。一昨季にシュツットガルトに加入。怪我で出遅れたものの、後半戦だけで7得点を挙げて2部への降格まっしぐらだったチームを残留に導いた本格派FWだ。
昨今のブンデスリーガ1部で得点王を争うのは、バイエルン・ミュンヘンのポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキや、ボルシア・ドルトムントのガボン代表FWピエール・エメリク・オーバメヤンを筆頭とする外国籍FWばかり。
今夏のEURO2016フランス大会でも毎試合相手を凌駕する華麗な攻撃を披露しながらも得点力不足でベスト4止まりだったドイツ代表には、救世主となれるような若手国産FWの待望論が根強く続いている。
そんなドイツ国内で「国民が期待する国産FW(代表未招集)」というアンケートを実地すると、このギンチェクは今季から1部へ昇格したRBライプツィヒに所属するリオ五輪代表FWダビー・ゼルケと毎回のように1位と2位を争っているFWだ。
190cm87kgという鋼のような体格やパワーを武器とするだけでなくスピードも兼ね備えており、クロスを始めとするラストパスを強引にゴールに押し込む本格派ストライカーは、やや技術的には粗い部分があるものの、それが逆にストライカーとしての強引さという部分で強みにしている。
しかし、キャリアを通して怪我に泣かされ続け、昨季は椎間板ヘルニアと靭帯断裂により僅か7試合の出場に止まり、現在も長期離脱中。すでに離脱してから1年近くが過ぎるが、それでも昨季終盤に2020年までの契約延長を発表するなど、クラブからの期待の大きさは特大。
チームは開幕前に必要以上に補強に動かなかったが、彼の回復が遅れているからこそ、移籍市場の最終盤に大きく動いたと推測できる。
そんなチームは代表ウィーク明けの第4節で敗れた直後、今季から就任していたヨフ・ルフカイ監督が電撃辞任。
監督交代だけでなく、ただでさえ昨季までの主力だったセルビア代表の若手MFフィリップ・コスティッチ(現・ハンブルガーSV)やベテランのオーストリア代表MFマルティン・ハルニク(現・ハノーファー)といった2列目のタレントが降格を機に移籍し、攻撃陣全体が再構築を余儀なくされているのが現状だ。
アーセナルからの”助っ人”としての期待は「本物」
その他にもチームの10番を背負うルーマニア代表MFアレクサンドル・マキシム選手のような攻撃的MFやサイドMFを本職とする選手もまた、採用する布陣によっては浅野のライバルとなる存在だ。
そして、代表ウィーク明け初戦となった9月9日のリーグ第4節のFCハイデンハイム戦。1点を追う81分、浅野は欧州での公式戦デビューとなるピッチにセカンドトップとして投入され、同点アシストか?と思わせるプレーもあったが、得点は動かず。チームは敗れた。
ただ、火曜日に行われた日本代表のタイ戦に先発し、水曜日からシュツットガルトの練習に初合流。中2日の金曜日の試合で起用された浅野に対するクラブからの期待は本物だった。
実際、直後に暫定監督の下でミッドウィーク開催を含んだ連戦でチームは2連勝。浅野はその連戦下で連続先発。特にリーグ首位を走っていたブラウンシュバイク戦では貴重な追加点を初アシストした。
チームはその後、ドルトムントのU19チームの指揮官を務めていたハネス・ウォルフ氏を新監督に据え、ここまでの7試合を4勝1分2敗の5位に付けている。