Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/orfool/soccerlture.com/public_html/wp/wp-includes/post-template.php on line 293
no-image

名波浩のサッカー観を読み解く【理想の監督編】

 ジュビロ磐田の名波浩監督のサッカー観を説く連載。名波さんの現役時代のプレーを振り返りながら、【ジュビロ磐田編】、【日本代表編】、【理想のパス&理想のMF編】を経て、その第4弾です。

 今回は、名波さんが現役時代に出会った国内外の名将との経験を通して、理想の監督像を探りました。“監督・名波浩”のヒントになりそうな部分と共にまとめましたので、お楽しみ下さい。

≪参照≫

第1弾【ジュビロ磐田編】

第2弾【日本代表編】

第3弾【理想のパス&理想のMF編】

国内外の名将との出会い~オフト、スパレッティ、加茂、岡田、トルシエ

 大卒新人ながらジュビロ磐田ではJリーグ開幕戦から先発に抜擢されてレギュラー定着。半年後には日本代表へ招集され、デビュー戦となったコスタリカ代表との親善試合でいきなり初ゴールを記録するなどデビューから2戦連続得点で一気に代表にも定着した名波さん。

 ジュビロではリーグ戦年間優勝3回(1997,1999,2002年、※1999年の後半は名波さんは不在)、ステージ優勝は6回(1997後期,1998前期,1999前期,2001年前期,2002年は前期・後期完全優勝)、ナビスコカップ1回(1998年)、アジアクラブ選手権1回(ACLの前身、1999年優勝)、天皇杯1回(2003年度)という国内外で数多くの主要タイトルを獲得。日本代表でも2000年のアジアカップ優勝や日本初となる1998年のフランスW杯出場も果たすなど国際Aマッチ67試合出場9ゴールを記録しています。

 クラブや代表で多くのタイトルを獲得した現役生活14年の間には、プロサッカー選手としての基礎を叩き込んでもらい、現役選手としての最後の時間も共に過ごしたハンス・オフト監督を始め、イタリア1部リーグのヴェネツィアでプレーした1998~1999年シーズンにも、後にASローマでイタリア代表のファンタジスタであるFWフランチェスコ・トッティ氏を最前線に置く“ゼロトップ”システムで一世を風靡するルチアーノ・スパレッティ監督。ジュビロでは短期期間ながらも、後に2002年の日韓W杯でブラジル代表を優勝に導くフェリペ・スコラーリ監督。日本代表では、アジアカップ制覇と2002年の日韓W杯で日本が史上初となるグループリーグ突破を果たしたフィリップ・トルシエ監督、2度目の就任となる2010年の南アフリカW杯では現在までの日本代表の歴史では唯一無二である国外でのW杯グループリーグ突破を成し遂げた岡田武史監督など、国内外の名将のチーム作りや采配、マネジメントを選手として経験して来ました。

 名波さんのプロ生活で“最初”“最後”の監督となったオフト監督は、オランダ人指導者の特徴として、何が何でも自分の指示通りに戦術を叩き込む、といいう部分がありました。特にポジショニングに細かい事は、選手としても監督としても世界最高峰であったヨハン・クライフ氏や、現在はマンチェスター・ユナイテッドでチーム再建が軌道に乗り出しているルイス・ファン・ハール監督を筆頭に共通しています。具体的には「ウイングのポジションは自分サイドのゴールポストより外側でプレーしろ」や、どんな時でも(パスコースを2つ以上作るために)「トライアングルを作れ」という“顔出し”のサポートの意識を持つ事などですが、名波さんにとっては、この“顔だし”の意識を身体と脳に癖づける事により長い現役生活を支える基礎になったようです。

 他にも、日本代表の加茂周監督の下では、ボランチへのコンバートで新たなプレースタイルを確立。ジュビロの黄金時代には鈴木政一監督と共に、「レアル・マドリーを倒すため」“N-BOX”という衝撃の布陣を完成させるなどして来ました。

名波浩が考える理想の監督像 共に意見を言い合える環境を作れる監督

 その中でも名波さんが理想の監督として挙げるのは、実はプロ契約してから出会った監督さんではなく、清水商業高校時代の大滝雅良監督。理由としては、当時は当然ながら高校の教師と生徒の立場であり、年齢や立場も全く違う関係ながら、サッカーについては対等に意見を交わす事が出来ていたから。

 大滝監督は、「お前らはこのプレーをどう思う?」という質問に対して、「こう思います。」という名波さんや(清水商業とジュビロ磐田で名波さんの1年先輩)藤田俊哉さんに対して、「なるほど、自分はそうは見えてなかった。こんな見方なんだけど、どう?」という具合に言い、「それもアリですね」という会話を対等の立場で意見を交わしていく関係。