これまでの指揮官はインテルをビッグクラブと捉え、常に攻撃的だった。その姿勢に長友はマッチしており、攻撃参加の爆発的スピードと圧倒的なスタミナは4人の指揮官を唸らせた。しかしインテルを中堅クラブと位置付けるマンチーニにとって、やたらと攻撃に顔を出す長友は不要な選手と映るのかもしれない。
長友にとっても守備を求められる事は初めてのケースであり、1番の魅力である攻撃参加を自重しなければならない状況となっている。もちろん長友のコンディションが整えば、マンチーニが長友の攻撃参加を許容する可能性もある。しかし現段階でその可能性は低いと言わざるをえない。
今のインテルにおけるサイドバックの役割はサイドでの1対1に勝ち、PA内でのクロスの対応もこなす事だ。ここでいう1対1はドリブルへの対応だけでなく、ハイボールへの対応も含まれる。つまり長友にとっては苦手分野が揃っており、攻撃参加しない長友をわざわざサイドバックで起用する意味はない。
☆チームを去る時期でもおかしくはない
長友は世界的なサイドバックに成長を遂げたとは思うが、29歳という年齢を考えても売りに出される時が来たのかもしれない。近年相次ぐ負傷にも年齢が影響している可能性があり、同期の本田のプレーを見てもピークは過ぎたと考えるのが妥当だろう。
本来彼らのピークは2013〜2014年のワールドカップを戦った時期であり、それを終えた今はクラブでも代表でも徐々に価値が無くなっている。しかし悲観的になる必要は無い。仮に今夏に本田と長友の一斉放出があったとしても、それを戦力外通告とマイナスに受け取る必要は無いのだ。
なぜなら彼らはピークを過ぎ去ったのであり、長友は25歳からの4年間でインテルに日本人として名を残した。それほどイタリアでの活躍は見事なものであり、そもそもインテルのような名門で何年もプレー出来る選手などほとんど存在しないのだ。
本田もミランの10番としては不本意なシーズンを送ったが、ここから彼のパフォーマンスが飛躍する可能性は限りなく低い。もはや彼は成長過程にある選手ではなく、完成された選手だからだ。多少の改善は出来るが、それはあくまでスターになるためではなくキャリアを長続きさせるためのものに過ぎない。
キャリアの終盤に差し掛かった選手がスピードを要求される前線で生き残るのは並大抵の事ではない。クラブでも代表でも若者に道を譲る時期が来たという事なのかもしれない。