フットボーラー人生を締め括る最後のアシストは左足から
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そのボルトン戦はスコアレスで後半へと折り返す。七位のマンチェスターシティと同勝ち点で八位のボルトンではあるが、チャールトン相手ならば格下とは言えない顔ぶれ。試合が動いたのは後半二十七分。アブドゥライ·ファイ:Abdoulaye Faye【1978年2月26日生】がエリア外から強烈なミドルシュートを放つ。ディフェンダーに当たりコースが変わったもののアンデルセンが横っ飛びでボールを弾いたのは見事。このボールに左ハーフの中田が素早く反応してフリ-でマイナスの折り返し。柔らかいボールを押し込んだのはディフェンダ-二人を引き連れてゴール前に突進した主将のノーランだった。中田英寿 生涯最後のアシストでグレーター·マンチェスター州のクラブが勝利を手繰り寄せた。(スコアは0-1)
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チャールトンを訪問したのは、昨秋11月17日。還暦を迎えた誕生日だから忘れたくても忘れようがない。この日のロンドン滞在はイングランド代表がウェンブレーでアイルランド代表と対戦するUEFAネーションズリーグの取材が目的。試合がなくても合間を縫ってスタジアムを見て回るのが渡欧中の仕来り。今季のチャールトンはチャンピオンシップ(二部)の下、EFLリーグ1=三部に参戦。2006-07に降格してからは二部と三部のエレベーター状態が続いている。ちなみに開幕戦で対戦したウィガンも’13年にチャンピオンシップへと降格してからは似たような状況。
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チャールトン駅からフロイド·ロードを歩いて五分でスタジアムに。風になびくフラッグと出入りするスタッフの様子から試合が開催される気配を感じる。三部とはいえ代表の試合開催日にリーグ戦を行うはずがない。首を捻った数分後真相にだとり着いたのが次の写真。並んだマフラーには各プレーヤーの顔と名前が織り込まれている。行われたのはチャールトン·アスレティックWFC対ブリストル女子の試合だった。
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ヴァレーを賭け抜ける金髪のサラブレッド
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「Who’s popular?=人気あるのは誰か」と聞いたら、隣にいたまったく関係ないオヤジが割り込んできて「favorite player’s type?」と聞いてきた。よく聞き取れなかったので「Blonde and Slender Good」と真顔で返したら爆笑された。これでは一昔前の風俗店の客引きとの会話でしかない。薦められたのは11番。今季新加入のエリー·ブラジル:Ellie Brazil【1999年1月10日生】。十六歳で英学生陸上競技会八百メートル走で金メダルを獲得している快速フォワード。’16年のU-17ワールドカップ、翌年のUEFA:Uー19選手権でイングランド代表を経験。彼女は’19年にブライトン’22年のトッテナムで二度前十字靭帯を損傷している。開幕戦のポーツマス戦で決めた二得点は実に約五年ぶりとなる公式戦でのゴールだった。今シーズンは既に二桁ゴールを決めているから、今更ながら風俗の客引き扱いしたオヤジに詫びるしかない。写真を転載したいところではあるが筆者撮影のみを掲載するポリシ-につき、インスタのURL をリンクさせるのでルックスにも御注目。兎に角手足の長さに舌を巻く。彼女の父親はかつてニューカッスルやフラムでプレーしたゲイリー·ブラジル:Gary Brazil【1962年9月19日生】。引退後は指導者として歩み’99年ボルトン監督就任前のアラダイスをノッツカウンティで補佐していた。
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