11月の2試合を連勝で終えた日本代表。ザッケローニ前監督の遺産で勝利したと言われた今回の2試合では、遠藤や長谷部などベテラン組の活躍が光った。
ベテランが活躍すれば、必然的に若手が育っていないとの話題が飛び交う。柴崎や武藤など若手が全く育っていないわけではないが、本田や香川と比べるとどうしても評価は劣る。
今回は、2014W杯を戦った選手の力が必要と感じた場面と、いつ若手主体のチームになるのか。ベテランと若手の関係を掘り下げてみたい。
☆2010年から劣る部分が見えた4-2-3-1
今回の2連戦で目に付いたのは、遠藤のスタート位置だ。遠藤はインサイドハーフの左で先発出場した。
これまでアギーレはこの位置に左利きの田中順也を使ってきたが、この位置では左利きの選手の方がボールを持ちやすく、縦にパスを送りやすいという側面があるからだ。
田中順也が外れた10月のジャマイカ戦では香川が同ポジションに入ったが、これは香川に技術があるからだ。
しかし今回は香川が右で遠藤が左。つまり遠藤の方が縦パスを送る素質があると判断できる。遠藤はザッケローニ体制から左ボランチに入っており、右利きということを感じさせない技術を見せたことで、日本の左サイドからの攻撃は世界的に警戒されていた。
決して目立たない部分だが、遠藤が攻撃の組み立てに必要不可欠だということを再認識させられた。
☆攻撃の質が落ちたSB
今回のオーストラリア戦では、試合途中から4-2-3-1へ変化した。前監督のザッケローニ時代から使用してきたシステムだが、やはりベテラン組の力を感じずにはいられなかった。
前回の私の記事でオーストラリアが日本のSBを半ば無視したプレスを仕掛けてきたとは書いた。日本はこのプレスに手を焼き、酒井と太田の両SBは違いを生み出すことが出来なかった。酒井はまだ23歳と若いが、やはりまだまだ組み立てに大きな課題を残す。
特に左の太田は悪かった。ザッケローニ体制時の4-2-3-1で日本のストロングポイントであった左サイドで力を出せなかった。もちろん、現在のアギーレ体制では戦い方に違いがあることは分かる。
しかし、長友であればオーストラリア守備陣を縦に切り裂くことができたはずだ。
さらに、太田はビルドアップ時にも問題があった。彼が左利きなので仕方が無い部分もあるが、中の遠藤に繋げる場面でバックパスしか選択できない。これも日本の攻撃スピードが上がらなかった理由の1つだ。長友よりクロスの制度が高いのは認めるが、言い換えればその部分以外は長友に劣る。両SBの質ではまだまだ内田と長友が上回っているということだ。
☆成長のために負ける覚悟を
ベテランの力が若手を凌駕している間は、ベテランを主体に戦うのもいいかもしれない。私もアジアカップはベテランで戦っても良いと考えている。アジアカップで優勝すれば2年後のコンフェデの出場権を得ることが出来るし、そこがまたチーム作りのメリットにもなる。
しかし、このまま2018W杯に入るのは絶対に避けねばならない。何処かのタイミングで必ず若手主体のチームに切り替え、2018W杯では武藤や柿谷、清武の世代が頑張らなければならない。もっと下の世代が代表に入っても良いくらいだ。
本田や香川の存在感が大きすぎるために世代交代に踏み切るのが難しいのは理解できる。
しかし何処かで勇気を持って首を切らなければならない。そして視線を2018年に向けなければならない。