Jリーグ開幕間もない九十年代半ば、海外の強豪と国内クラブチームのプレシーズンマッチを東京ドームで観戦した時にも微妙な息苦しさが気になった。旧国立は八十年代の枯芝から見た目は緑に変わってもピッチ状態は世界レベルにまだまだほど遠い時代。開閉式の天井をソーラーパネルの電力で作動させ、好天時は自然光が天然芝を照らすアムステルダム·アレナに憧れた三十年前。
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大切なのは陽の光と芝と積み重ねた歴史
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最後は鮮やかな芝生とコントラストを描くマーク·ディ·スヴェロ:Mark di Suvero【1933年9月18日生】の真っ赤な彫刻作品『K-Piece』。オランダ美女のカバー写真を引きで撮ったヴァージョン。H型鋼でKの字を組んだのは上海生まれのアメリカ人。重機操作や溶接を自身でこなしていたが、年齢を重ねてからは後進の育成も兼ねてか若い方とのコレボする回数が増えた。
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《緑色》に見える波長は、可視光線の中間地点にあるため刺激も軽く眼球への負担も少ない。人口のスタンドに囲まれながら緑の芝生は、観客と競技者双方を優しさで包んでくれる。
スタジアムとは、芸術的な建築物に人=プレーヤーと観客、そして緑のピッチがコラボすることで新たな感動を創り出す空間。ゆえに人々を魅了して止まない。
「二十代後半の世界を旅して、世界で最も美しい美術館のひとつ」とクレラー·ミュラーを評した日本の安藤忠雄:Tadao Ando【1941年9月13日生】とMVSAアーキテクツのプロジェクトは’27年に着工を予定している。2030~31年の完成を計画してはいるが工事期間中も美術館のコレクションと彫刻庭園は利用きるので心配無用。この美術館の建築物に携わるのは前述の四人に次いで安藤が五人目。時代や国籍を超えて巨匠が襷を渡していく壮大な浪漫。クレラー·ミュラーは最も欧州らしい美術館なのかもしれない。〖第七十五話了〗
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⏹️写真/テキスト:横澤悦孝