フランスはナシオナルなお国柄
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以前サイト運営のOrfool社/新井氏から声掛けされたのは教育関連記事の案件。リライトを「任せてください」と自信満々、二つ返事で胸を叩き仕上げてみせた。但し基の原稿があまりにも浅く面白くなくかったので、一歩踏み込み持論を展開したところ、最早原形すら留めておらず当然クライアントからはボツの宣告。熟自分には不向きであると今更ながら悟ったエピソ-ドは十年前の昔話。
フランス語で国立競技場はStade national 。このナシオナルに+aleの言葉を耳にする機会が結構多い。日本ならば国家·国民、他では国有·国内といった意味でも用いる。但しフランスではこれらの意味の他に、外国人に対してフランス国民を指す言葉として用いたりもするようだ。
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日本は東大、ロンドンならケンブリッジと並んで、世界屈指の名門として挙がるパリのソルボンヌ大学は俗称。パリ五区パンテオン広場にあるキャンパスの正式名はパリ第一大学。通うのは政治·経済·法律·哲学を学び、将来は仏国を引っ張りエリ-ト街道を突き進むであろう学生達。東京ディズニーランドが実は都内ではなく東京《近郊》DLなのと同様に、パリ大学もパリ《近郊》大学。2019年にパリ第五と第七大が合併。こちらは医学部、理学部、社会人間学部など。’22年に名称をパリ大学からパリ·シテ大学へと変更した。
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フランス代表の国際試合が行われるスタッド·ド·フランス。ダノン杯決勝で涙を飲んだ日本の子供達を慰め励ます心優しきブレーズ·マテュイディ:Blaise Matuidi【1987年4月9日生】。フランスフットボールの聖地があるのはサンドニ市。同市のパリ第八大学は芸術学部なので、キャンパス内を何度か仕事でお邪魔している。パリ第十大学は宮殿で御馴染みヴェルサイユに。奈良市と姉妹都市の関係にあるが、もしも奈良が大阪を名乗ったら河内のオッちゃんも北新地のお姉さんも西成のおばちゃん達も黙っていないし、そもそも奈良のヒトは大阪を頼まれても名乗らない。それぐらいヴェルサイユのパリ大学は無理がある。
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そしてパリ南東部の郊外、メトロ八号線のユニヴェルシテ·クレテイユ駅近くにあるのがパリ第十二大学。八号線の始発及び終点駅は2011年10月開通したポワント·デュ·ラック駅。改札を出れば運動公園が目の前に、その中にあるのがUSクレテイユ·リュシタノの本拠地スタッド·ドミニク·デュヴォシュル。ヴェルサイユニに比べればパリ中心部に五キロぐらいは近いはず。
カバー写真の女子四人組をルーヴル美術館の前で撮影した。イタリアから来た女子大生の観光客だったろうか。土産袋にはRMNのロゴ。フランス文化省直轄の国立美術館連合=RMNが組織されたのは1895年。この年間一千万人の入場者が訪れる史跡だけでなく、オルセーやギメなど同国を代表する多くの美術館は大学同様、ほぼ国立の施設と思って間違いない。そのため土産袋は同じRMNのデザイン。一方欧州代表に対してアメリカの雄ニューヨークのメトロポリタン美術館は民間の非営利。また昨秋パレスチナ自治区ガザで衝突が原因で寄付金の減収が話題にあがったとおりハーバード大学も公立ではない。
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上写真は夕闇せまる393号線のバス乗り場。観光客で沸き返るパリ中心部とは、雰囲は異なる、確かに花の都のキャッチフレ-ズは似つかわしくない。ここまでくると既にヴァラロントン市は目と鼻の距離。腰を降ろしたキヤップの男性が、今回の話しの流れを組んでイイ味を出してくれている。
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三部のシャンピオナ·ドゥ·フランス·ナシオナル=が通称:ナシオナルなので四部はナシオナル2と呼ばれる。前年のリーグ·ドゥ=二部から降格してナシオナル=全国選手権(三部)でも下位に沈み四部降格の危機的状況に追い込まれていたUSクレテイユ。上写真の’17年4月7日USブローニュ戦のマッチデープログラムは、何故か白色のユニフォームになっているが本来のチームカラーは下写真のブルー。翌シーズンは1987年以来となる四部=フランス全国選手権2へと降格。一シーズンで昇格しナシオナルへ復帰すると2019-20は九位の好成績。喜びも束の間、感染症拡大が収まった2021-22にまたも降格。このエレべ-タ-状態は続かず以降沈みっぱなしで今季を迎えた。