ザルツブルクから続く師弟の信頼関係
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先月のUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメントプレーオフ第二戦の取材は、双方三得点と激しいゴ-ルの奪い合い。手に汗握る展開に欧州最高レベルを充分堪能できた。ピッチサイドで気づいたのが、“日本の至宝” 南野拓実:Takumi Minamino【1995年1月16日生】に注がれる指揮官アドルフ·ヒュッタ-:Adolf Hütter【1970年2月11日生】の暖かい眼差しと絶大なる信頼。
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報道がこの日は日本人同大会最多得点の結果にばかり目を奪われるのは仕方ないとしても、肌で感じたのは献身的なプレーは勿論、ピッチ上での振る舞いからも強い責任感が垣間見れる。
ミラノ·マルペンサ空港から、ポルトガルに向かう空路移動の最中。機窓から見降ろせば、“山波”と表記するのが相応しいほど、幾重にも連なる西アルプスの山並みが眩い輝きを放つ。
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ドイツとフランス、更にスイスとの国土を分かつライン川。ボ-デン湖より東からはスイスとオーストリアとの国境を示し、アルプス山脈もここから西と東に大別される。
カバ-写真はイタリアに本社工場を構えるロアカ-のチョコレ-ト製品。オーストリア·チロル州のハインフェルスにも工場がある。どちらもアルプスの麓標高1,000mで稼働している。
スイスに面した最西端に位置する州はフォアアールベルク。州都ではないが最大の都市とされるドルンビルンの街並みには心惹かれるものが。ウィーンやザルツブルクからは無理でもチュ-リッヒからは日帰りも可能。ならば足を延ばそうと思い立つ。列車に揺られること二時間。目的地のドルンビルンから更に乗り換えて程なく南のアルタッハで下車する。
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第十話はシュナーベルホルツ·シュターディオン。SCラインドルフ·アルタッハ=SCRAの本拠地までは駅から歩いて十五分程度。距離にすれば1.5キロもないか。スタンドは鮮やかな青をベースに黄色の座席でSCR ALTACHの五文字が彩る。但しこのクラブのチームカラーは黒と白。Rはラインドルフ=ライン(川)沿いの村の頭文字。往復で三十分も歩けば一汗かいてビ-ルも美味い。ドルンビルンで創業した醸造所Mohrenbräu:モ-レンブロイが、この地域では老舗で1834年。
村で唯一醸造されるのは大手ビールメーカーと同名の地ビール
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州の北側に広がるのはブレゲンツの森。二十三の村が存在し生産者、販売店、飲食店が軒を並べる『チーズ街道』として知られているが、百年前はビール醸造が盛んだったらしい。当時のフォアアールベルク州には計74軒もの醸造所が点在し、ブレゲンツの森には33軒が集中していた。しかし現在は悲しいかな唯一残ったエッグ醸造所がフォアアールベルク州のみで伝統のご当地ビ-ルを販売するのみ。1894年の創業で現在の約三十名の従業員が働いている。ちなみにオーストリア国内第二位のビールメ-カ-が、欧州13ヵ国だけでなく中国、韓国などにも同名の製品を輸出しているが、ロゴが異なる。
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