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ロベルト・バッジョの衝撃(後編)宇佐美へ届け「戦術を越える選手」に

 バッジョは目標としていた2000年のEUROや2002年の日韓W杯への出場はならなかったものの、2004年までの4年間をプレシアでプレー。それまで3年連続セリエA残留を経験していなかったブレシアですが、バッジョの在籍した4年間では初年度の8位という望外の結果を含む4年連続のセリエA残留。自身も4年連続で2桁ゴールを記録するなど役目を果たした2004年の夏、バッジョはブレシアで現役を引退しました。

 キャリアを通して多くの監督たちと衝突しながら自身のプレー哲学を貫いたバッジョ。バッジョに言わせてみれば、
「自分がチーム戦術を忠実に守るよりも、自分が個人技を発揮して相手選手を引きつけたり、突破したりする事がチームプレーになる。それこそがチームの利益になる。」
、という考えがあったのでしょう。

 現役生活の晩年に、
「どれだけ頑張っても優勝出来るのは、たった1チームだけ。じゃあそれ以外のチームは失敗なのか?そうじゃない。サッカーを楽しまなければ」
、というバッジョの言葉には、キャリアを通して経験してきた事が全て詰まっています。

 一方、マッツオーネの言葉の中には、
「バッジョを使いこなせないようでは一流の監督とは言えない」
「90分間の中で1度だけでも良いから、君らしいプレーを見せてくれ」
、という名言があります。「戦術の国」であるイタリア人監督は常に世界最高峰のレベルにあり、サッキ、リッピ、カペッロの3人は当時のビッグ3と言える名将。しかし、バッジョにとっては「3大天敵」であり、マッツォーネこそが「理想の監督」でした。

 バッジョやマッツォーネだけが正しかったり、美しいわけではありません。イタリアにはバッジョのような個性的な選手がビッグクラブでは主力として活躍出来ないかもしれませんが、ブレシアやボローニャのように個性を最大限発揮できるクラブもある。また、個人技に秀でていても、それが最高の選手である物差しではない。逆にチームプレーとは約束事を遵守するだけでなく、個人能力や独創的なアイデアを発揮する事もまた、時にチームプレーとなる。そんな事をバッジョを観ながら考えさせられました。

 ロベルト・バッジョの活躍ぶりをリアルタイムで観れたことは筆者にとって本当に幸せなことです。

≪宇佐美に届け≫監督の言いなりになる必要はない~チームプレーとは約束事を遵守する事とは限らない

 そんな筆者は「日本にバッジョのような選手が出て来たら~」と何度も思いました。そして、それを中学生の段階から体現してくれそうな日本人選手が遂に日本サッカー界に姿を現しました。それはもちろん、ガンバ大阪所属の日本代表FW宇佐美貴史、23歳。

 日本代表は世界から見ると強豪であるはずがありません。クラブチームで例えると、ドイツやスペイン、アルゼンチンが強豪クラブであり、実際にドイツはバイエルン・ミュンヘン、スペインはバルセロナの選手が主力の半分以上を担って近年のW杯やEUROを制覇しました。そう考えると、日本はボローニャやブレシアと同じく地方クラブのような存在です。