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鹿島アントラーズ2-3ガンバ大阪 今季Jリーグベストゲーム!!

 こうした決定機が続き、ガンバの中盤の選手が前を向いた状態でプレーする時間帯となると、ここまで眠っていたMF大森晃太郎がどんどんドリブルで仕掛けてチャンスメイク。61分には自ら鋭いミドルシュートを放ち、試合を支配し始めたガンバ。

 しかし、やはりゲームの主導権を握りだすと逆のチームが得点する展開に。

 65分、ボールを奪ってからの鹿島の速い攻撃。右サイドで日本代表SB西大伍が持ち上がって幅を作り、内側の遠藤へ。遠藤から柴崎へ横パスが繋がる間にMF土居聖真がガンバDFラインの背後を突き、柴崎が完璧なトラップから絶妙のスルーパス。完全に土居が抜け出してGKと1対1となり、ボールを受けると冷静に決めて2-1。カウンターと表現するのは安すぎる連動性のある”縦方向へのポゼッション”という完成度の高い得点でした。

 それでもガンバには”至宝”がいました。

 71分、クロスのセカンドボールを拾った宇佐美が左サイドをドリブルで前進。たった1人で日本代表クラスの揃う鹿島守護陣を相手に局面を打開。左サイドゴールライン際まで突破し、利き足ではない左足からはGKとDFの間を抜くシュートよりも速そうな超絶グランダークロスが。これに合わせられるのは”超人”パトリックだけ、と思っていたら、そのパトリックが飛び込んで2-2の同点に。

 直後に連戦中からシーズン通しての疲労の色が見える阿部に替えて、「ピッチに出ればゴールに絡む男」リンスを投入。67分にも大森に替えて倉田秋が入っており、鹿島も73分から5分刻みに2列目のテクニックや局面打開力に優れたMF中村充孝、本山、セットプレー含めた左足でのキック精度やシュート力で違いを作るMFジョルジ・ワグネルを連続投入。両チームがより個人技での打開力がある選手が揃って攻撃モード全開に。

 まずは鹿島がテクニシャンが揃った中盤でのパスワークと2列目からのミドルシュート攻勢でリズムを掴む。逆にガンバは速攻から一気にフィニッシュに持ち込む。その際、遠藤が両ゴール前で絡む幅広い動きを見せた事もあり、攻撃はカウンター主体ながらも迫力を醸し出していました。
 また、鹿島も縦志向のポゼッションで攻撃を仕掛け続けた事もあって、この試合を観ていたサッカーファンに”攻撃的なパスサッカー”というマスコミが頻繁に使う意味不明の言葉は存在しない事が判明。両ゴール前を行き来する壮絶な打ち合いは終盤にシュート連発のカオス状態に。

 90分通してカオス(狂乱)状態だった主審は今野・米倉・小笠原の3人に退場が妥当な判定を見逃したのか?忘れたのか?逆にそれが試合を面白くしたものの、これは残念に感じました。

 試合の方は両ゴール前で仕掛け続ける状態を越え、両者共にどんどんゴールへ飛び込み始め、引き分けでは終わらせないスペクタクルな意識を持ち続けた死闘に。

 87分に鹿島はバイタルでの見事な連携で崩し、中村の鋭い左足でのミドルシュートがガンバゴールを強襲。しかし、ココでも東口のビッグセーブで防いだガンバは、その直後の相手CKからのクリアを繋ぎ、”藤春カウンター”のような一撃必殺パターン。左サイドから宇佐美が一気に持ち込み、右からゴールへ向かうはDF丹羽!?に優しいラストパス。しかし、これはGKに防がれものの、最終ラインで相手の攻撃を防ぎ続けて来た選手がこの場面で見せた攻撃参加には感動的なモノがありました。

 さらにガンバはこの直後にゴール前至近距離で直接FKを獲得。しかし、珍しく宇佐美が放ったキックは外れ、解説の秋田豊の「遠藤選手のキックが見たかったですね」に興奮と緊張が重なる試合にユーモアが。

 そしてそんな鹿島OBの言葉も止まりそうな試合は、鹿島がジョルジ・ワグネルの強引なミドルシュートが多くなったものの、92分には鹿島MF遠藤が右サイドで受けて放ったクロスがガンバDF陣の間を抜けてゴール前至近まで走り抜けた、”オウンゴーラー”山本にフリーで届く。山本のヘッドは枠を捉えなかったものの、丹羽同様にこの時間帯でのDFの無理を通り越した攻撃参加に男気を感じさせていました。

そしてそして、遂にそんな壮絶な打ち合いにはフィナーレが。93分、両チーム攻めぎ合い興奮と意地、緊張が交差する中で、一瞬の相手の集中力の欠如を逃さなかったのは途中出場のガンバFWリンス。遠藤がまたも両ゴール前をカヴァーをする動きからボールを運び、右からエリア内のリンスへクロス。胸トラップから日本代表DF西のマークをボールを浮かして外し、右足で放った豪快なハーフボレー弾が決まってガンバが2-3と逆転。

 直後にタイムアップのホイッスルがなり、ガンバが8年ぶりの連勝。鹿島と共に川崎フロンターレも敗れた事により、ガンバがリーグ2位に浮上しました。

パトリック大活躍の裏に代表選手の可能性もある阿部の凄さアリ~インテリジェンス溢れる動きによりボールを持たずとも存在感

 この試合でのパトリックが日本代表に招集された鹿島CB昌子を圧倒し続けたのは、昌子が試合後に代表辞退を申し入れた負傷の影響やパトリック自身の驚異的なフィジカルや特徴がそれを可能にしたとも言えますが、そこには阿部の動きがあってこそだったと言えます。

 阿部がワイドの位置や相手DFとMFの間のギャップで起点やダミーとなることで鹿島左SB山本は阿部をケアすることでパトリックVS昌子は完全に1対1のミスマッチとなり、パトリックの特徴を引き出す状況を作り続けました。あれだけパトリックに突破されながらも鹿島が対策をとれなかった影に阿部の動きアリ、と言えるでしょう。

 また阿部の凄いところは、パトリックや米倉といった右サイドのスペースでの突破を得意とする選手達がいながらまずは自らがサイドで起点を作る仕事をこなしてから彼らへにスペースで突破をさせ、ゴール前でフィニッシュに絡むという一連の動きの中で、誰とも動きが重ならないこと。

 巷では宇佐美&パトリックの連携の良さが語られてますが、そのコンビでも局面で重なってお見合いしたり、持ち味を消し会う場面があるにも関わらず、阿部はスペースの使い方、プレスのかけ方、スペースの埋め方。チーム全ての不足している部分を補ったり、ボールを持たずに周囲を活かす動きをしたりと、彼の頭の回転の速さは司令塔のような思考回路が組み込まれているのかもしれません。

 一般的には阿部はチーム戦術を献身的にこなすとは言いますが、これはもはや誰にもできる、気が付ける、考えられるレベルにはありません。

”運動量豊富なハードワーカー””SB以上に守備が上手いアタッカー”“神出鬼没のアタッカー””オールラウンドプレイヤー”と、彼のことを色々と喩えるキャッチコピーがありますが、今の彼を見ていると”ボールを持たずにゲームメイクできるボックス・トウ・ボックスのMF”というのが僕の見解です。
 昨季から遠藤がトップ下のような使われ方をする時に「遠藤の守備能力の低さ」を理由に勝手に掲げるマスコミやサポーターが多くいましたが、そうではなく、遠藤に託されたのはルーカスの役割だと説きます。前線からのチェックはもちろん、中盤での不足する仕事を守備面含めて埋める事。それをルーカス退団から行っていたの、そのはルーカスの長期離脱した2010年の中頃から定位置を奪い始めた武井択也(現・ベガルタ仙台)であったと言えます。そして、その役割を総合力の高い遠藤が担い、現在は最も適した存在となった阿部が担っていると言えるでしょう。

では、最後に個人採点をお楽しみ下さい☆