そんな日本が苦手意識のある相手との試合。日本はキックオフから両ワイドを使って広くパスを回してゆったりとしたポゼッションを意識。狭い局面でのパスワークやドリブルを控える事で、ヨルダン得意のカウンターを警戒した入りを見せました。
そのゆったりした展開の中で香川がアタッキングサードに飛び出すとスイッチを入れた鋭い攻撃が飛び出し、10分にはバイタルでのワンタッチパスの絡みからエリア内右に抜け出した香川がクロス。中央で豪快に右足ボレーを炸裂させた乾のシュートが決まるも、これは香川のクロス時にゴールラインを割ったとして幻のゴールに。
それでも日本はラフプレー覚悟でボール際に激しく当たるヨルダンから逃げずにボールを動かす。そして、ボールを奪われた後の攻守の切り替えの速さが素晴らしく、主導権を完全に握りながらの危なげない戦いでコントロール。
そして、24分、ハーフウェイライン付近左からのリスタートをシンプルに繋ぎながら前進。長谷部のパスを乾がキープしてタメを作り、エリア内左側のスペースへ走り込む岡崎へスルーパスが通り、そのまま岡崎がシュート。このシュートはGKシャフィが防いだものの、ゴール前にこぼれたボールを本田が無人のゴールへ流し込み、1-0。本田の3試合連続得点により、日本が待望の先制点。
その後も29分には本田の右CKから森重が強烈なヘディングシュートを見せるなど、追加点は奪えないものの、攻撃には迫力を見せていた日本。逆にヨルダンのカウンターには、長谷部のリスク管理が徹底されたポジショニングと読み、責任感ある対応により全く危ない場面を作らせず。日本の1点リードで前半を折り返しました。
冴え渡るアギーレ采配で3連続完封勝利!
ヨルダンが後半開始から2人の選手交代でスタートした後半は、早々にロングボールの対応でもたついた相手DFの隙を突いて追加点の機会があったものの、飛び込んだGKと交錯して追加点ならず。このプレーで岡崎に、直後に乾にと立て続けに警告を受けた日本。采配が冴えわたるアギーレ監督は51分という早い時間帯に乾に替えて清武を投入。後半に入ってイラク戦同様に押し込まれる時間が増えた事にこの選手交代で対応。
ヨルダンは“日本キラー”の8番オダイが長友の上がった裏のスペースへ流れる事が多くなり、そこを重点的に狙って来ました。59分にはこのサイドから突破を許してゴール前へ速いグランダーのクロスが横切りも、高徳の渾身のブロックで防いで失点は許さず。
すると徐々にポゼッションを回復してきた日本は分厚い攻撃も仕掛けられるようになり、遠藤や本田、香川がミドルレンジから良い形でシュートを狙う場面が出てきました。ただし、両者共に中盤が間延びして来たためにスペースが拡がるオープンな展開に。これによりヨルダンにシュートまでは許さないものの、出入りの激しい試合となっていました。
ここでアギーレ監督はカウンターの応酬という試合展開という状況から、1トップの岡崎に替えて武藤を1トップにコンバート投入。スピードに溢れ、長い距離をドリブルで運べる武藤を1トップに据える事で、大きく前にスペースが出来ている状況を活かして、カウンターでゴール前まで効率的にボールを運ぶ事を選択。
そして、武藤投入から3分後となる82分でした。4人目の中盤に専念できるようになった清武から左サイドに拡がるスぺースへ流れる武藤へ長めのパスが通り、ゴールライン際まで運んだ武藤。武藤が狙い済ましたグランダーのクロスに、後方から長い距離を走ってゴール前に飛び込んだ香川がダイレクトで合わせた右足シュートはGK正面・・・も、シュートの勢いが上回ってゴールネットを揺らし2-0。アギーレ体制後初の香川のゴールが貴重な追加点に。
リードを拡げた後は、“遠藤の後継者”柴崎を投入。その柴崎が絡んでの本田の鋭いシュートがポスト直撃する場面も作るなど、日本が危なげなく3連勝を挙げました。
3連勝で準々決勝進出の日本はグループCを2位で通過したUAEと対戦します。試合間隔で休養日が1日少ないですが、それも百戦錬磨のアギーレ監督は見越してアプローチしているので大丈夫でしょう。
では、最後に選手採点をお楽しみ下さい☆
【選手採点・寸評】
選手 | 採点 | 一言 |
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GK川島永嗣 | 6.5 | 攻め込まれる時間帯でも驚異的なシュートはなかったが、しっかりとコーチングできるようになったことで威圧感も復活。 |
DF酒井高徳 | 7.0 | ツヴァイ・カンプ(1対1)で勝ち続ける守備面で安定感を出していた。試合を経るたびに成長を見せている。終了間際の浮き球をバウンドさせる対応以外はパーフェクト。 |
DF吉田麻也 | 7.0 | 終始落ち着いて対応。高徳や森重のような代表での主力経験のないDF陣を引っ張っている。強さや判断力の的確さで3試合連続完封に貢献。 |
DF森重真人 | 6.5 | ザッケローニ体制時と違って、彼に左側を担当させている点にアギーレの信頼が窺える。やや危ない場面もあるが、ここまで無失点で中盤との絡みも上々。期待に応えている。 |
DF長友佑都 | 6.0 | 良いプレーも多いが、この日は切り返しが大きくなってボールを奪われる事が多く、そのままカウンターを食らう事が後半に増えた。とはいえ替えの利かない存在であり続けている。 |
MF長谷部誠 | 6.5 | 前半に幾度もカウンターの危機を未然に防ぐファインプレー連発。後半はスペースが拡がって対応し辛い場面もあったが、チームとしての試合運びの柔軟さは彼がいてこそ成立している。 |
MF遠藤保仁(87分まで出場) | 6.0 | 後半の出入りの激しい展開では試合についていけない場面もあったが、要所で攻守をサポート。やはり彼にも限界はあります。 |
MF香川真司 | 6.5 | 遂に待望のゴールが生まれる。パスも長短自在で展開力も披露し、守備面でもボール際を戦える選手になっている。得点も生まれたので、今後はインサイドMFに見合った評価をすべき。 |
FW本田圭佑 | 6.5 | 3試合連続得点を称賛されるだろうが、PK2発と無人のゴールへ流し込んだのみ。むしろサイドで確実に起点になれるキープ力と、そこからフィニッシュまで持ち込めるところに凄み。 |
FW岡崎慎司(79分まで出場) | 6.5 | シュツットガルト時代の不遇も、中盤での絡みを習得するなど自分のプラスにしている。それが南アフリカW杯時との大きな違いで、プレー範囲の広さで貢献できる頼もしさになっている。 |
FW乾貴士(51分まで出場) | 6.0 | この日は過去2試合と違ってドリブルで仕掛ける場面などボールを持つ本来の仕事で崩しの一端に。先制点にも繋がるスルーパスを見せるなど得点に絡むも、やや空回り。 |