東京23FCというクラブをご存知だろうか?東京23FCは関東社会人サッカーリーグ1部、J1から数えると5部に相当するリーグに所属しているクラブだ。
今回は、そんな東京23FCについて紹介していく。
クラブの概要、環境
東京23FCは、2003年に発足。東京都江戸川区をホームタウンとして、東京都23区内からJリーグへの昇格を目指している。現在の東京都には、FC東京と東京ヴェルディの2つのJリーグクラブがあるが、この2チームのホームタウンは東京都23区ではない。さらにJFLには、東京武蔵野シティというクラブがあるが、このクラブも東京都武蔵野市をホームタウンとしていて、東京23区がホームタウンではない。意外に思う人も多いだろうが東京都23区内にはまだJリーグクラブがないのだ。東京23FCは東京都23区内から初のJリーグクラブ誕生を目指して活動している。
ホームスタジアムは江戸川区にある「江戸川陸上競技場」だ。収容人数は芝生席を含めると6950人だ。公式規格の天然芝のピッチにナイターのための照明もある。大型スクリーンはないが簡易電光表示板があり、関東社会人サッカーリーグの試合を開催するには充分なスタジアムだ。
トップチームの他に、東京都2部リーグ所属するセカンドチームの東京U-23、江戸川区リーグに所属する東京23江戸川FCがあり、u-18やu-15といった下部組織も持っている。トップチームとセカンドチームは、江戸川区の臨海球技場で朝に練習を行い、その後選手たちは仕事に向かっている。平日の朝に練習をしている社会人サッカーチームは非常に珍しいのではないだろうか?平日の朝の練習に選手が参加できるのは、ジョブ支援システムによって、多くの選手がクラブのスポンサー企業で仕事をしている背景がある。
東京23FCでは、「プロになれなかったらサッカー選手としては引退しなければならない」という概念をなくし、大学卒業=サッカー選手引退ではなく、社会人になっても“働きながら”“本気”でサッカーに取り組める環境を、地域の中小企業と連携をとり「ジョブ支援システム」として希望する選手には提供しているのだ。
何故、ジョブ支援を積極的に行うのか?それには、選手は長い人生の中で、誰もがいつかはトップチームではプレイできなくなるが、生涯スポーツとしてサッカーをするようになった時に、サッカー以外の自分の仕事に誇りが持て、所属していたクラブに誇りが持て、東京23区に誇りが持てる「人財」へと成長してもらいたいという思いがあるからだ。そして、現役の間だけの中短期の仕事ではなく、社会人として長期的な視野での仕事を全うし、練習ではサッカーに集中する。そういったメリハリのある生活をして「人間力」を高めていってほしいという目的もジョブ支援を行っている理由の1つだそうだ。
東京23FCの魅力とは?
次は、東京23FCに魅力について紹介していきたい。このクラブの魅力は、ULTRASと呼ばれるサポーターの存在、勝手に実況隊と呼ばれる、集団が試合のライブ中継をしていることにある。それも、プロではない実況集団にも関わらず、ステレオ集音マイクがあり、放送設備が充実している。
私自身も東京23FCのトップチームの試合を大井第二球技場に観戦に行ったことがあるが、気合の入ったサポーターのチャントや充実した放送設備に魅了された1人だ(笑)ULTRASと呼ばれるサポーター集団の存在や充実している放送設備をもつ、勝手に実況隊の存在、そして、選手に仕事を提供することのできるジョブ支援システムもあり、これだけでも魅力的だと思う。しかし、東京23FCにはまだまだ魅力がある。
私がさらに魅力的だと思ったのが、中央大学と提携した、「5000人プロジェクト」だ。このプロジェクトは、中央大学の学生達が試合の告知やイベント等で東京23FCに協力して、ホームの江戸川陸上競技場に5000人のお客さんを集めようというものだ。このプロジェクトを2016シーズンに実施した際には、中央大学サッカー部OBで、現在はお笑い芸人のパンサーの尾形が応援する形で、電撃入団会見といった冗談交じりの会見が開かれ、プロモーションビデオにも出演した過去がある。2016シーズンは9月10日に行われた関東リーグ後期の第7節が5000人プロジェクトの対象試合となり、5000人達成こそならなかったものの、江戸川陸上競技場には、3300人の観客が集まった。
無料試合とはいえ、3300人の観客を集めることは、容易ではない。関東リーグで3000人以上の観客を集めたクラブは、恐らく東京23FC以外にはないだろう。2017シーズンからは、同じ東京都23区内からJリーグを目指すサッカークラブの東京ユナイテッドFCとの新東京ダービーも大きな注目を集めた。関東リーグ後期の新東京ダービーは、江戸川陸上競技場で7月22日の17時キックオフだが、この試合はスカパーのサッカー専用チャンネルのスカサカで生中継される。関東リーグの試合で生中継など、通常あり得ないが、それだけこのダービーが注目されているという証だろう。今後も東京23FCや新東京ダービーに注目していきたい。