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リオ五輪得点王がブレーメンの救世主に!アーセナルが発掘したMFセルジュ・グナブリーとは?

 今夏に開催されたリオディジャネイロ五輪サッカーではベストメンバーを選出できずとも、大会準優勝を果たしたドイツ。

 決勝ではバルセロナのネイマールをオーバーエイジ枠で招集するなど、開催国にして「サッカー王国」の本気のブラジルを前にPK戦まで持ち込みながら惜敗に終わった。

 だが、そんなネイマールですら4試合目まで得点を挙げられずに苦しむ中、大会を通して眩い光を放ち、得点王となったアタッカーがドイツにはいた。

 背番号17を付けていたMFセルジュ・グナブリーだ。(Gnabryは、日本では「ニャブリ」や「ナブリ」と各メディアで表記・発音が異なるが、ここでは「グナブリー」とする。)

17歳でアーセナルでデビューした逸材~リオ五輪4戦連続の計6点の得点王

 グナブリーはリオ五輪開幕から4試合連続得点で通算6ゴールを挙げ、大会得点王となった2列目のアタッカー。FWではない選手がこの数字を記録したのが特筆すべき事だ。

 下部年代のドイツ代表としてもプレーした来た彼は、2011年に16歳になる頃にイングランドの名門アーセナルにトライアルを経て“移籍”を果たした「海外組」だった。

 アーセナルへ加入してから僅か1年後には、イングランド代表FWテオ・ウォルコットの契約延長問題から来る移籍騒動の際、指揮を執るアーセン・ヴェンゲル監督からは、「ウォルコットが移籍する事になっても心配はない。グナブリーをトップチームに昇格させれば良いんだ」と、名指しで期待を込められていたヤング・タレントで、当時はまだ17歳になったばかりだった。

 結局、ウォルコットはアーセナルに残留したが、グナブリーはそのシーズンに17歳にしてイングランド・プレミアリーグや欧州チャンピオンズリーグでもデビューしてトップチームに定着。ドイツの強豪シャルケ相手にも堂々たるプレーを見せ、アーセナル自慢の2列目のアタッカー陣の中でも自身の存在をアピール。その活躍にはドイツ代表のヨアヒム・レーヴ監督がわざわざロンドンまで視察に訪れる事も複数回あった程だ。

 2列目でプレーするグナブリーの特徴は、ドリブル・パス・シュート全てに非凡なセンスを備えるのはもちろん、バイタルエリアの狭いスペースを見つけてパスを呼び込み、そこで素早くトラップ&ターンする能力に長けている。そこからさらにドリブルで仕掛けたり、ごぼう抜きしてからのスルーパス、自らのフィニッシュで観客を魅了させられる。直線的な速さだけでなく、ドリブルでの切り返しを含めた瞬発力や敏捷性といった日本人的な小回りの利く速さにも優れている。その敏捷性を支える下半身の強さもあり、フィジカル的な強さにも対応可能で、プレー判断も早い選択ができる。17歳でデビューした頃から、攻撃面ではすでに成熟した選手だったのだ。

長期離脱や守備意識の低さを問われて実績を残せず

 ただ、鮮烈なデビュー当時から負傷が多く、すでに怪我による長期離脱も経験。その間にアーセナルの2列目にはドイツ代表の司令塔MFメスト・エジルや、チリ代表の絶対的エースFWアレクシス・サンチェスなどのビッグネームが加入。昨季戦列に復帰したグナブリーにはポジションどころかトップチームに居場所が見当たらなかった。

 そのため、昨季は意を決してレンタル移籍を選択したグナブリーだったが、レンタル先のウエスト・ブロムウィッチ・アルビオンではトニー・ピューリス監督に、「プレミアリーグで通用するレベルにない。」と公の場で非難されてしまい、1年間のレンタル移籍も半年で打ち切りに。

 就任20年を越えるヴェンゲル監督の下で一貫した攻撃サッカーを展開するアーセナルと、守備重視で攻撃はFWにロングボールを放り込むようなウエスト・ブロムのスタイルでは大きな違いがあったのも事実だが、グナブリーにも大きな弱点がある。

 生まれ持った攻撃の才能で称賛される若手にありがちな、守備意識が問題視されていたのだ。攻撃する時間の長いアーセナルではそれが表面化する事はなく、逆に運動量は多いために積極性を評価されていた。ただ、守備時のポジショニングや周囲との連動といった基本原則の理解が怪しいため、そこをピューリス監督に指摘されたようだ。

 そして、アーセナルでデビューした頃からも自身が10代だった事や各国代表で主軸を担う選手が数多く在籍していたため、グナブリーは21歳となった今までのプロキャリアでレギュラーを担った事がなく、実績がないのが大きな欠点となっている。

リオ五輪に続き、新天地・ブレーメンで圧倒的な存在感を放つ