七年後でも心配になるイタリアのスタジアム建設
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一昨年共催とはいえユーロ2032開催権を獲得したイタリアに昨秋スタジアム建設の進捗遅いよと警告を発したのはUEFAのミケーレ·ウヴァ:Michele Uva【1964年11月8日生】理事長。当初は単独開催を目指していたもののスタジアムの建設・改修を不可能と判断してあきらめた経緯がある。イタリア側は五都市のスタジアムが振り分けられていても政治的課題によるプロジェクトの停滞となると頭が痛い。現時点で準備が整っているのはトリノだけ。ローマはオリンピコではなく、新スタジアムを公共交通機関や道路が未整備の土地に一から造る構想。サン·シーロも土地、建物をミラノ市から赤青両クラブが一旦買い取り、こちらも現スタジアムの隣接地にまったく新しい七万人収容のスタジアムを建設する方向だけは決まった。残る二会場はフィレンツェ、ナポリ、ボローニャあたりが候補。解体に着工したスタディオ·アルテミオ·フランキも文化財保護の規制対象となるから、取り壊しや原形を留めない大規模な改築は認められず、公的資金不足により工事が停止してから進展していないはず。一方トルコではこの十年間で新しいスタジアムが次々と建設されている。十一年前にこけらを落としたファティ·テリムですら最近完成したスタジアムとは言い難い。
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UAEのオイルマネーで強豪を目指すオレンジ軍団
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2008年にアラブ首長国連邦の投資グループに買収されて一躍強豪へと変貌を遂げたマンチェスター·シティ。同クラブの親会社となったシティ·フットボール·グループは、日本の横浜Fマリノスやイタリアのパレルモも傘下に収めているが、昨年二月IBSSKもこのグループに加わった。’90年に市政府直轄で誕生した新参クラブも大きな飛躍のチャンス。感染症が収まった22-23シーズンからは年間平均動員数も二千五百人規模の安定した数字を保っている。今季最終戦は既に優勝を決めていたガラタサライに黒星。それでも来季のECL出場権を確保する五位でのフィニッシュ。お役所クラブから正式に分離した2014年から数えると十一シーズンで九度目の欧州の舞台。今季はグループステージ敗退だけに新シーズンその上を目指す。注目のプレーヤーを一人挙げるならば年明けにリーグアンのACル·アーヴルから補強した左サイドのクリストフェル·オペリ: Christopher Opéri【1997年4月29日生】。昨年末の段階で七位のクラブをふたつ押し上げた功労者のひとり。昨年少し遅めの二十七歳での代表デビューとななったがアフリカネーションズカップ予選全試合にフル出場しており今が旬のコートジボワール代表。写真は’22年のKAAヘント時代に撮影した。
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それにしてもトルコらしいニュースがCNNから飛び込んできた。航空機が着陸時、機体が停止する前に立ち上がり通路を進む行為=規則を守らない旅客に罰金を科すとトルコ政府が発表した。この二ュ-スを携帯電話で読んでいたのは京急羽田空港線の社内。第三タ-ミナル駅を過ぎて終点。のんびり降りようとしたのが間違い。GDPは日本を抜くほど経済大国になっても、降りる人が先、乗る人が後のマナ-を守れないのが中国。危うく接触をかわして彼らが座るのを見届けて社内を出ることに。実際イスタンブ-ルの空港で罰金を払う人が現れたならば、チャイニ-ズと思って間違いない。〖第三十六話了〗
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⏹️写真/テキスト:横澤悦孝 ⏹️モデル:Damla Nur Sert