☆勝てると思ったハーフタイム
前半を0−1で折り返した時、ユーヴェはどう思っただろうか。私としてはスコアに関係なくユーヴェが優位に立っていると感じた。というのも、バルサはやはりMSNの3人が守備に走らず、サイドにスペースを作ってしまっていた。
バルサのプレスの影響もあってサイドに展開するまでに苦労する事になったが、ユーヴェはサイドからチャンスを作る事が出来ていた。ユーヴェとしては後半もこれを継続すればよいだけだった。先制点は許したが、実にポジティブな空気で前半を終える事が出来たと思う。
その考えは後半10分に実を結び、マルキジオのボールキープからリヒトシュタイナーがサイドを突破し、そこからのクロスの流れでモラタの同点ゴールが生まれた。前半はネイマールを意識しすぎてオーバーラップをしなかったリヒトシュタイナーが果敢に仕掛けた事で、バルサ守備陣は混乱した。
バルサが最初の決定機をゴールに結びつけたのと同じく、ユーヴェもリヒトシュタイナーの初めてのオーバーラップを見事ゴールに繋げたのだ。リヒトシュタイナーの上りに全くついてこなかったネイマールを見ても、やはりサイドから攻めるパターンはハマっていた。
ただ、恐れていた事態も起きた。ユーヴェは同点ゴールからペースを掴み、ポグバがPA内で倒された怪しいプレーも演出した。しかしその流れがMSNの存在を忘れさせてしまった。勝ち越しゴールを狙うあまりに前がかりとなり、バルサにお得意のカウンターを許す場面が多発したのだ。
そこをスアレスに突かれ、ユーヴェは夢から覚めた。私が指摘したように、ユーヴェがバルサから2点も奪うのは難しい。もはや2点目を奪う余力は残っていなかった。
それでも、アッレグリは実に優秀な判断を下した。サイドからのクロスに合わせるパワー型のFWとしてジョレンテを送り込んだ交代策も理に適っていて、90分間を通してほとんどミスは無かったように思う(試合への入り方はマズかったが・・・)
ネイマールに許した3点目は前がかりになった事で生まれたものであり、いわばオマケみたいなものだ。ゴールと同時に試合が終了したあたりにネイマールのスター性を感じずにはいられないが、ユーヴェは持ち前の組織力を活かしてファイナルを最高に面白いものにしてくれた。
一方のエンリケを見るとどうだろう。自分たちが攻められている状況でもMSNの爆発を待つだけで、彼がこの試合で何をしたというのか。リードを奪った後に守備固めとしてマチューを入れる策も定番で、仮にユーヴェが攻め込んだ時間帯に勝ち越しゴールを決めていれば何が出来ただろう。
相手にリードを許してもMSNの爆発を待つしか手は無く、彼がこの1年間に積み上げたものは皆無といっていい。
負けはしたが、指揮官対決ではアッレグリが3−0の大勝だったと私は信じている。
☆MSNがいる〜変わらない勝利理由〜
試合が終わって冷静に振り返れば、1点目は余計だった。3点目だって本来生まれなかった。あれが無ければバルサの攻撃を2点以内に抑えるというミッションは成功していたし、自分たちも1点を奪った。
延長戦に入ればバルサが有利なのは明白だったが、それでもPK戦にまで持ち込めばあわよくば・・・。こうした考えが頭をよぎるのは、勝てる試合の時だけだ。やはりユーヴェにはビッグイヤーを掲げるチャンスがあった。