カラバフはアゼルバジャンのクラブとしてUEFAに登録されている。
今回のヨーロッパリーグの中ではもっとも東方にあると思われる。
カラバフはバルササッカーを目標としてるというだけに、
その東方的なイメージとは異なり、非常にコレクティブなサッカーを具現していた。
基本的にポゼッションを重視しチャンスが有れば前線へ送りシュートする。
シュートの精度は残念ながら欧州の強豪にはかなわないが、
後方でのパス交換は確実でかなり正確であった。
しかし試合は少ないチャンスをものにしたインテルが2得点決めて2−0で勝利した。
長友はリーグの失態があったが先発起用され右サイドながら、無難にフル出場した。
さてカラバフ、サンシーロでのプレーを楽しみにしていたのは間違いないだろうが、
単なるお上りさん気分でイタリアに来たのではない。
なぜなら、とても歴史的に複雑な背景を抱えているひとたちだからだ。
ためしにカラバスというクラブで検索しても何もヒットしない。
そのかわり、ナゴルノ・カラバフ紛争というキーワードがかなりの確立でヒットするはずだ。
この地域はアゼルバイジャンとアルメニアやロシアやトルコなどの近隣の大国に振り回されてきた。
そのなかでもナゴルノ・カラバフ地方は領土的にはアゼルバイジャンにありながら、
ほとんどがアルメニア人で構成されているため、特にソ連崩壊後独立の機運が高まった。
1992年に「ナゴルノ・カラバフ共和国」として独立を宣言し、現在も事実上独立状態にある。
つまりアゼルバイジャンの影響下にない。
しかし国際的には認知されてない。
そのカラバフがアゼルバイジャンリーグを代表してELに参加した。
これはどういった事態なのだろうか。
国内で独立を宣言しながら国内リーグに参加して
ELに出場するということは、我々日本人には想像がむずかしい。
このことについては残念ながら詳しい情報は得られなかった。
ただこの前のスコットランドやその影響を受けたスペインのバスク地方のでの動きなど
西ヨーロッパでのこうした動きは、海外サッカーフリークにとって自然に耳に入るところだ。
それに比べ中央アジアの情報はなかなか入ってこない。
しかしこうしてその地域のクラブがELのような大会に参加することで
こうした問題を間接的ながら世界に広めることになるのだろう。
ダービーの例の持ち出すことまでももなく
サッカークラブはその地域の代表である。
たから単に勝つことだけでなく、その地域の存在のアイデンティティとして
カラバフの参加はサッカークラブの隠れた、かつ未来を賭けた重要な仕事であると思う。