得点者【韓国】チャン・ヒョンス(88分、PK)
システムを柔軟に変える”勝負に徹するスタイル”
U21日本代表は大会直前に行われた大学選抜との練習試合ではフル代表のハビエル・アギーレ監督も採用している4-3-3のシステムを使ったものの、全く機能せずにスコアレスドローを演じてしまい不安の色が濃いままで大会へ出発。加えて、正GK候補のGK杉本大地(京都サンガ)が負傷、DFリーダー役のDF遠藤航(湘南ベルマーレ)が発熱により欠場していた事も輪をかけて不安を募っていました。結局、大会初戦のクウェート戦へ向けてはGKは負傷の杉本に替えてポープ・ウィリアムが追加登録され、遠藤も欠場する事態に。
それでも、手倉森誠監督は“勝負に徹すること”をスタイルにするチーム作りを施しており、大会に入っても毎試合異なったシステムでスタートするなど柔軟性と、それに対応可能な選手構成がこのU21代表の特徴。主将はJリーグで最も魅力的なサッカーをする川崎フロンターレでパスワークの軸となっているMF大島僚太が担っています。
大会規定は「23歳以下の選手+オーバーエイジ(23歳以上)3人まで」であるものの、日本は2年後のブラジルで開催されるリオディジャネイロ五輪への出場資格を持つメンバーで構成した21歳以下で挑んでいます。
【準々決勝までのまとめ】大会を通して成長するU21日本代表
D組に入ったグループリーグ初戦のクウェート戦では遠藤を欠いた日本はJリーグでも定位置を掴む185cm以上の長身を誇るCBの3人を同時起用する3-4-3を採用。相手のロングボールに対して長身CB3人が強さを発揮したどころか、その3人を中心に高さで上回れる利点を活かし、セットプレーから2点を奪うなど、4-1で内容以上の結果的快勝。
しかし、復帰した遠藤をアンカーに置いた4-3-3でスタートした第2戦のイラク戦では、この世代で”アジア最強”、それ以上に”リオ五輪の金メダル候補”と言えるイラクの強力な攻撃に屈して1-3と敗戦。しかし、今年の1月にはシュートすら打てずに完敗した内容とは打って変わって、撃ち合いを演じて見せた日本とイラクとの差は確実に縮まっているように見えました。
1勝1敗で迎えたグループリーグ最終戦となるネパール戦では、明らかな実力差がある格下相手に手倉森監督は「引いた相手を崩す」べく、2列目のアタッカーを多く起用できる4-2-3-1を採用。実に3戦連続で異なったシステムでスタートするというこのチームの特徴も表現した上で、ネパールには野津田岳人(サンフレッチェ広島)の豪快なブレ球ミドルで先制すると、後半は斜めに入れる縦パスにフリックやスルーを交える創意工夫により4-0と完勝してグループ2位で決勝トーナメント進出。
中3日で迎えたラウンド16ではU23パレスチナ代表と対戦。手倉森監督が「中東特有の身体能力を活かして間延びしたサッカーと、コンパクトな守備という合い異なったスタイルを持つ」という相手に対して、日本はどんなスタイル、システムの相手と対戦しても対応可能な”全方向対応型”を選択。
ポイントとなるのはアンカーに入る遠藤で、相手のシステムや試合展開によって、彼がDFラインに下がって3-4-3にもなれる4-3-3でスタートし、大会を通したベストゲームで主導権を握り続けた上での4-0の完勝で準々決勝進出を決めました。
韓国の単純なロングボールにでも大歓声が出る韓国のホーム〜サイド攻撃とセットプレーの連続に耐えた前半〜
U21日本代表
【スターティングメンバー】
9.鈴木 武蔵 | 10.中島 翔哉 | 12.矢島 慎也 | 13.野津田 岳人 |
3.遠藤 航 | 7.大島 僚太(CAP) | 19.秋野 央樹 | 2.室谷 成 |
20.植田 直通 | 4.岩波 拓也 | 1.牲川 歩見 |