川の氾濫よりも恐ろしい体験とは
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市川市と浦安市の境目にマンションを購入したのは2007年。江戸川も近く十数分歩けば東京都(江戸川区)。台風で江戸川が氾濫、堤防が決壊するかもしれないとTVが報道しているから、これは大変と、幼い息子を連れて見に行こうとしたから嫁に小っ酷く叱られたのを思い出す。
俗にいう《カリギュラ現象》。居酒屋で自然災害よりも嫁のほうが怖いと嘆く声を耳にした。浮気がバレたときの嫁の対応ほど怖いものはないかもしれない。
JFLのブリオベッカ浦安が市川市もホームタウンに加え本年からチームエンブレムやロゴも変更された。ブリオベッカの前身浦安SCの創設は’89年と、意外なほど歴史は古く千葉県代表として出場した’14年の天皇杯ではJ3のいわてグルージャ盛岡(2003年創設)を破る金星も。’16年JFL昇格しているのだが、その頃には既に自分も浦安·市川から離れてしまい、高校生になった息子の夏休みには欧州取材に連れ回していたぐらいだから、当然国内の実情にも疎くなっていた。
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そのJ3復帰を目指す今季のいわてグルージャ盛岡は、降格したとはいえ星川敬:Kei Hoshikawa【1976年5月29日生】監督が継投する。なかなかユニ-クな指導歴のル-ツを遡ると2014年のコンコルディア·エルブロンクと翌15年のKSレギオノヴィア·レギオノヴォ。何れもポーランド三部のクラブへと辿り着く。バルト海に面する北部の港湾都市エルブロンク。最寄りの大都市となるとグダニスクでロシアの飛地領カリーニングラードからも110キロの距離。レギオノヴォはワルシャワ北部近郊。首都中心部から25キロ程度なら車で30分とかからない。それにしても欧州と聞かれれば一般的に観光のメッカ、フランス=パリや英伊独西のFIFAワ-ルド杯優勝国がまずイメージされるはず。果たしてポーランドの名前は何番目にあがるのか。しかしこの親日国の地方都市は、意外なほど多くの日本人フットボーラ-を受け入れている。
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流浪の天才ドリブラーが辿り着いたベトナム
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’23年夏Y.S.C.C.横浜の星川監督がシ-ズン途中で退任されたと知ったのは当時クラブ所属の元日本代表 松井大輔:Daisuke Matsui【1981年5月11日生】氏のインスタグラム。この二人はオードラ·オポーレ繋がり。松井のレヒア·グダニスク移籍は’13年。もちろんそれ以前にもポーランド一部= エクストラクラサに日本人フットボーラーは在籍していたのだが、FIFAワールド杯出場経験者となると初の大物。しかし翌シーズンにジュビロ磐田カラーのサックスブルーを身に纏いJ復帰を果たす。そして’17年には二部のオドラ·オポーレへと完全移籍。’18年の年明けに横浜FC移籍で国内復帰を果たし、これでようやく日本に落ち着くのかと思ったがなんと’20年12月にはベトナム·サイゴンへ。感染症拡大真っ只中、ロックダウンで外食のできない生活。ベトナムに行ってフォ-を食べれなかったら行った意味がない。
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エルブロンクやKSグバルディア·コシャリンは今季IVリガ(五部)に参戦。先週末はMKSマズル·エウク:MKS Mazur Ełkとの対戦で0-1。敵地で白星を手にしたエルブロンク。敗れたこのエウクだがこのクラブの試合は六年前に取材している。第十三話で紹介するスタジアムは、ポーランドⅢリガ(四部)のMLKヴィクトリア·スレユベク:Victoria Sulejowekの本拠地スタディオン·ヴィクトリア。あの日あの時は■2019年5月11日■MLKヴィクトリア·スレユベク対マズル·エウク。
Ⅲリガ·グループIは18チームの大所帯。6月22日の最終節まで予断を許さず気が抜けない残留争い。16位以下は自動降格。16位スレユベクがホームで迎え撃つ相手は17位のエウクで共に星を落とせない。四部レベルとはいえ面白くなるのは鉄板保証付き。
列車はワルシャワ中央駅から東キロのスレユベク。スタジアムの座席数は1,240とこじんまり。まず選手入場時に驚かされたのが、上:水色·下:白のスレユベクに対し、エウクは上:臙脂·下:黒っぽい紺色のウェア。これはもう90年代後半のJリーグ二強時代磐田対鹿島を想起せずにはいられない。時間どおりにキックオフの笛が鳴る。