その後、2009年夏に古巣ケルンへ復帰したポドルスキだったが、初年度は27試合に出場しながら2得点のみ。同シーズンはクローゼも所属するバイエルンでリーグ3得点に終わっていた。
ドイツ代表の試合では相変わらず得点を量産する2人だったが、そのシーズン後には南アフリカW杯を控える代表チームの攻撃を牽引するコンビがリーグ戦で合わせて僅かに5得点。クラブで結果を残せない選手を代表へ召集するどころか、未だに主軸に据えて戦うヨアヒム・レーヴ代表監督を批判する声も強く挙がっていたのだ。
それでもクラブチームのような緻密な連携や組織力を誇るドイツ代表はEURO2008で準優勝、2010年の南アフリカW杯でも3位。若手タレントがひしめく未来型サッカーで高く評価されるドイツ代表では中堅選手となり、1トップがトレンドとなったサッカー界でサイドMFとして起用されたポドルスキ。スピードに乗ったドリブル突破で新たなサイド攻撃からの崩しや高速カウンターを繰り出し、EURO2008では3得点2アシスト、南アフリカW杯では2得点2アシストと大活躍したのだ。
その後、EURO2012を迎える頃にはケルンでも二桁得点を挙げるようになって来たが、今度は代表で控えに回る立場に。アンドレ・シュールレやマルコ・ロイス、マリオ・ゲッツェ(3人とも現在ドルトムント在籍)など優秀なタレントがどんどん台頭して来る中、それでもレーヴ監督は代表から外すような事はせずに背番号10を信頼。
そして、ピッチではスーパーサブ的存在として、ピッチ外でもムードメイカーとして若手の多いチームの兄貴分選手として重宝され、2014年のブラジルW杯優勝メンバーの一員ともなったのだ。
確かにムードメイカーなのだが・・・
ただ、ムードメイカー的な選手でコミュニケーション力に長けた選手であるのは、ケルンでチームメートとしてプレーした日本代表DF槙野智章(浦和レッズ)もお墨付きではあるものの、歯に衣着せぬ発言も多い選手。
EURO2012直後に加入したアーセナルでは1トップの座を同時加入したフランス代表FWオリヴィエ・ジルーに奪われ、自身は左サイド起用に。特にアーセナルがCLの試合でドイツへ行った時や代表戦で帰国する際には、ドイツメディアへ向けて起用法やチーム方針について不満を述べる事が多々あった。
「サイドでは常に上下動を繰り返さなければならず、守備面の約束事が増える」との理由でサイド起用にアレルギー反応を起こすのだが、面白い事にクラブでは守備意識が低いのに、ドイツ代表では左サイド起用で献身的に動く姿を見せるのだ。
どちらが本当の姿なのか?よく運動量を攻撃のためにセーブする事の重要性を説くようなFW論も存在し、彼もまたそのような不満を口にするのだが、彼の場合はよく動いた方が結果を出しているので何とも言えない。
そんな彼はアーセナルでは初年度にリーグ11得点を挙げていたが尻すぼみに終わり、3年目途中に戦力外のような形でインテル・ミラノへレンタル移籍で放出。インテルでも戦力にはなれないまま、2015年夏に完全移籍したガラタサライでは初年度から13得点とエース格として活躍している。
選手層の厚いビッグクラブよりも大きな期待を自ら背負えるチームの方が上手くハマるようだ。ドイツ代表も彼のデビュー当時は選手層が薄かった。
SNSの更新頻度も高いポドルスキはチームメートやサポーターにはすぐに打ち解けてくれそうなので、加入が決まれば大きな期待を思った通りにかけてあげる方が良いのかもしれない。
そして、彼の日本での活躍を長く楽しみたい!