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黄金期からの脱却!バルサのNEWモデル

 メッシとの確執、首位をレアルに明け渡している現状などを踏まえ、しきりに囁かれてきたルイス・エンリケの解任論。ペップが築いたドリームチームと比べれば組織力は格段に劣るが、エンリケは着実にチーム力を高めている。そして見えてきた新たな形。

 エンリケなりの答えが後半戦で吉と出るのか、凶と出るのか。バルサ復活を紐解く。

☆0トップから3トップへ~メッシの使い方~

 現在バルサが使用しているシステムは上記の通り4-3-3.3トップのスアレス、ネイマール、メッシは恐らく世界最強の組み合わせであり、彼らがハマった時の爆発度は計り知れない。しかし、エンリケがこの選択をするのはかなり難しい作業だったはずだ。
 近年のバルサの代名詞といえば、メッシを頂点に置いた通称「0トップ」。メッシはFWであってFWでない、実に中途半端な位置づけであり、それが彼の個性を引き出す事になった。このシステムを作ったのはペップであり、メッシを偽FWとして使うシナリオは完璧にハマった。
 対戦相手はメッシの脇から次々に侵入してくるペドロらを抑えきれず、打つ手が無い状況だった。そんなシステムをペップの後任を務めた監督たちも受け継いだ。ティト・ビラノバ、タタ・マルティーノ・・・。彼らは0トップを崩す事は無かったのだ。

バルセロナのスタメン

 しかしエンリケは今季途中よりガラリとシステムを変えた。超が付く点取り屋のスアレスが加入した事も大きいが、メッシを中央から外す決断をしたのだ。スアレスはゴールを奪うために最前線に位置しているため、もう0トップとは呼べない。スタンダードな4-3-3になったのだ。
 ペップが築いた形を崩した訳だが、この判断は実に的確だった。というのも、近年は0トップが機能不全に陥っていたのだ。理由はいくつかあるが、メッシのパフォーマンスが徐々に鈍ってきた事も理由の1つだ。以前は守備を固める相手をメッシの個人技で破っていたが、彼のパフォーマンス低下と共にチームの勢いも停滞・・・。
格下相手の引き分けや、ライバルのレアルにも負ける事が多くなった。では、メッシを右に動かして何が変わったのか。

 1番変わったのは、前を向いてボールを持つ機会が増えた事だ。中央は密集地帯のため、四方八方からプレスを受ける事になる。以前のメッシはそれでもボールをさばき、ドリブルで相手をかわすシーンも多かった。ところが、近年のメッシは運動量が大幅に低下。
 いつしか中央でボールを受ける事が出来なくなっていたのだ。相手にマークされても、それを引き剥がせない。気付けばバルサはメッシを抜いた10名で戦っているような形となり、持ち前の攻撃力が影を潜めてしまったのだ。
 しかし、右サイドであれば話は別だ。密集地帯になるケースは少ないし、ドリブルも仕掛けやすい。最近のメッシは果敢にドリブル突破を仕掛ける場面が増えており、これは中央から右サイドに移った事が関係しているのだろう。そして4-3-3は新たな形を見せる。

☆組織から個へ~ポゼッションとカウンター~

 昨季リーガを制し、CLでも決勝に進出したアトレティコは、バルサと5回戦って無敗。バルサは彼らから勝つどころか、2点以上奪う事すら出来なかった。ところが、今月におこなわれた国王杯準々決勝ではアトレティコ相手に2試合4得点。ホーム、アウェイ共に勝利をおさめ、攻撃陣の強さを発揮した。
 攻撃力がアップしたようにも感じるが、何よりも3トップの3名を最大限活かせているのが大きい。その活かし方は単純で、カウンターである。スアレスは昨季まで所属していたリヴァプールでカウンターの申し子的存在であり、ネイマールも本来はカウンター時に力を発揮するタイプだ。
 そしてメッシも、カウンター時の方がスペースを活かしてドリブルしやすくなっている。最強3トップの個性をフルに活かした形がカウンターなのである。アトレティコ戦ではそれがハマる結果となった。