【全体寸評】バランスや組織よりも、“個”を優先した11人
GKには、創設4年目にして2部初昇格ながら4位へ躍進したオルカ鴨川FCの有馬を選出。リーグ最少の12失点に貢献しつつ、マイボール時には「11人目のフィールド選手」のような高いポジションで積極的にパスを受けたり、的確な飛び出しを披露した。また、オルカのGK陣は3人とも高いレベルでの競争がある。GKチームとしても期待。
DFには右SBに武田。「彼女が去ったチームがその年に2部に降格するジンクス」は今年も続いた。今季の彼女は決して右SBで定着していたわけではないが、近年1部でレギュラーを張り続けた存在感は圧巻。リーグ最少失点にも大きく貢献した。CBの大賀は同級生の羽座と鉄壁のコンビを結成。大事な場面で自ら得点も記録し、優勝に貢献した。CBもう1人は、ポジションが定まらない「稀代のオールラウンダー」吉田。DFとしての出場は少なかったが、最終的にはCBで大成と予想。左SBの北村は守備対応に難を見せながらも、攻撃力で押し切る強気のプレーで躍進セレッソを支えた。
MFにはセレッソの主将・林。大事な場面での得点力の高さは、U19アジア選手権でも披露。彼女のボール奪取力は攻撃力である。何より急造・主将ながらチームをしっかりとまとめた。怪我に泣いた千葉だが、絶対的な柱であることは明白。空陸・攻守両面の1対1の強さなどに代表クラスの“違い”を感じさせる。阿久根は後半戦からFWに固定され、ラスト7試合で7得点2アシスト。
FWには代表での活躍も披露した上野。今季は控えに甘んじた時期も経験したが、終盤には大矢・阿久根とトリデンテ(3本の矢)を結成して復調。プレースケールが大きいため、今後の楽しみの方が大きい。葛馬は、千葉の欠場で後半戦はマークが集中して無得点に終わったが、その特徴的なドリブルは単独でも戦術になりえるほど切れ味と変化に富んでいる注目のアタッカー。昨季無得点ながら世田谷で11得点を挙げた長崎は、クラブ生え抜きのエースに突如成長。得点パターンを確立したチームと共に来季が楽しみだが、1部からの引き抜きも注目される点取り屋となった。
指揮官はその世田谷の川邊健一監督。細部の機微を読み取る「2部屈指の戦術家」だが、それは2部限定なのか?長崎というエースの慰留含めて来季が注目される指揮官。
以上、今季会場でお会いした女子サッカーファン・サポーターの皆様、ありがとうございます。まだ入替戦や皇后杯も残っております。引き続き、よろしくお願い致します。
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プレナスなでしこリーグ/チャレンジリーグ 今後の日程
≪2017プレナスなでしこリーグ1部・2部入替戦≫
12/09 (土) 第1戦、13:00 C大阪堺L vsちふれエルフェン埼玉@JG堺S1
12/16 (土) 第2戦、13:00ちふれエルフェン埼玉vs C大阪堺L@川越
≪2017プレナスなでしこリーグ2部・チャレンジリーグ入替戦≫
12/09 (土) 第1戦、13:00バニーズ京都 vs 吉備国大@西京極
12/17 (日) 第2戦、13:00吉備国大vsバニーズ京都@津山
≪第39回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会≫
10月28日(土)から1回戦が開始。決勝は12月24日(日)大阪開催予定。