12月26日のバーンリー戦から6勝2分と波に乗っているリヴァプール。後半戦の戦いぶりは昨季の猛追を思い出させるものがあり、まだまだCL出場権争いに加わる事は可能だ。そんなリヴァプールの好調には理由がある。昨季同様、チームに最もフィットしたスタイルを見つけ出したからだ。
戦術オタクのロジャースが構築した新たなリヴァプールの形とは!?
☆3−4−2−1のカラクリ
昨季のリヴァプールはシーズン途中から中盤をダイヤモンド型にした4−4−2を採用し、それがスターリッジやスアレスの爆発を呼んだ。最終的には2位まで滑り込み、前半戦の不調ぶりをチャラにしてみせた。しかし、今季同じ手法は通用しなかった。
というのも、4−4−2は2トップのスターリッジ、スアレス、そしてトップ下に入るスターリングの3名が揃わないと効果を発揮しない。彼らの高速カウンターがシティやアーセナルを呑み込んだのだ。ところがスアレスはバルサに移籍し、スターリッジは長期離脱を余儀なくされた。
この時点で4−4−2の高速カウンターは効力を失い、リヴァプールは深刻な得点力不足に陥った。新加入のバロテッリ、ランバートの両FWは満足な結果を残せず、スアレスやスターリッジの個人力に頼っていた事が浮彫となった。
そんな中、ロジャースはまたしても新たなシステムを考案した。それが現在採用している3−4−2−1だ。もともとシステムをいじるのが好きだったロジャースは、リヴァプール就任当初より様々なシステムを試してきた。その中で今のリヴァプールにピッタリなのは3−4−2−1と考えたのだろう。
しかも右CBには攻撃的MFのエムレ・カンを常時起用しており、彼が攻撃参加する流れも面白い。このシステムにテーマを見出すとすれば、「自分たちから仕掛ける」といったところか。昨季はスアレスらの高速カウンターを活かす戦い方だったため、どちらかというと受動的なサッカーだった。
しかし今季はそれが出来ない状態となり、得点を奪うためにはこちら側から仕掛けなくてはならなかった。3−4−2−1にはちょっとしたカラクリがあり、それが現在は良い方向に作用している。
最も印象的だったのはチェルシーと戦ったキャピタル・ワンカップ準決勝だ。プレミアリーグで首位を快走するチェルシーを、リヴァプールの3−4−2−1が最後まで追い詰めた試合だ。結果的にチェルシーが勝利したものの、内容ではリヴァプールが上回っていたといえる。
リヴァプールが採用する3−4−2−1は、トップ下の位置に入るコウチーニョ、ジェラード、あるいはヘンダーソンがワイドに開くところが最大の見どころだ。対戦相手はこの動きをどのようにケアするかを考えなければならない。