カシマサッカースタジアムで行われた、鹿島アントラーズ対ウエスタンシドニー・ワンダラーズ。
ウエスタンシドニーは設立が2012年にも関わらず、豪州のAリーグでの好成績だけならず、ACLでもコンスタントに実績を残し、ついに前大会で優勝を果たした。
オーストラリアはイングランド発祥のラグビーが盛んで人気がある。
もともとラグビーとサッカーは同じ競技と考えられていたが、手を使うか使わないで決定的に分裂しそのルールを厳密化するために結成されたのがFAである。
また現在でもプレミアリーグで見られるキックアンドラッシュは、もともとラグビーでの自陣から相手陣にボール蹴って、敵味方がそのボールめがけて追いかけるスタイルがルーツであり、サッカーとラグビーはとにかく深い縁がある。
こうした意味で考えるとおそらく地理的な理由なのだろうか、今までこの国であまりサッカーが注目されることがなかったが、豪州がAFCに加盟するとあっという間に強豪国になったのはもはや必然であったのか思われる。
そうしたことを踏まえても、この強豪チームの事実上の司令塔として堂々と風格と実力を発揮したのが、高萩洋次郎。
時には不敵な笑みを浮かべる高萩は見事に1ゴール、1アシスト。
マン・オブ・ザ・マッチに選ばれ、凱旋試合としては最高のスタートであった。
ウエスタンシドニーのゴール裏では、カシマサッカースタジアム名物のモツ鍋をすするサポーター中には何人かの日本人もいた。
「輝け俺達の10番洋次郎」という横断幕もあった。
一方アントラーズのゴール裏からは罵声が飛び交い、Wボランチで小笠原とコンビを組む柴崎の目は真っ赤であった。
彼の目を赤くしたのは、間違いなく高萩だ。
戦略と戦術を超えた何かが彼にはあり、アントラーズにはそれが足りなかった。
それは一体何だったのだろうか。