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天皇杯決勝、ガンバ大阪VSモンテディオ山形 ~勝利から逆算された長谷川ガンバの3冠達成

 後半、2点ビハインドの山形は、左ウイングバックに入っていたMF伊東に替わって、DF船津徹也を投入。ガンバの最強2トップを封じる事に注力。

 しかし、ガンバは宇佐美の球筋の速いロングスルーパスを軸に、いやそんなパス1本で最前線に1人残るパトリックが相手DFの裏を抜け出して続けざまに決定的なシュートを放つ。ただ、そのフィニッシュがほとんど枠を外れて追加点を奪う事ができない後半の中頃までの時間帯が続きました。

 山形側からすれば煮え切れない試合展開になった中、石崎監督が勝負に出たのは60分。2列目の山崎に替えて、長身FW林陵平を投入。ディエゴと林というクロスに合わせるFWを2枚にしてゴール前の迫力を出す積極策を早い時間帯に仕掛けて来ました。この効果は即座に表面化し、林投入直後の60分に左クロスから、その林とディエゴが突っ込んでスクランブル状態の決定機を誘発。

 そして62分、またも左サイドで起点を作り、船津から石川のクロス。エリア内に飛び込んだMF松岡がニアで潰れ、中央のロメロ・フランクが押し込んで2-1と1点差に。

 この後も左サイドを起点にした攻撃で山形が一方的に押し込む展開となり、69分には今季Jリーグ最多の5得点を直接FKで記録しているMF宮坂のFKが東口を襲ったり。70分にはディエゴが下がってボールを受け、前を向いてエリア内のロメロ・フランクとワンツーを駆使してエリア内でリターンパスを受けての左足シュートが東口のファインセーブをまたも誘う迫力ある攻撃を披露。

 ガンバは狙い通りというよりも、防戦一方の耐える状態に陥り、さらに最終ラインで耐え続けていた岩下が負傷交代で77分にピッチを後にするアクシデントも発生する。

 この機に乗じたい山形は、80分にFW中島裕希を投入してさらに前がかりになって同点を狙う。
 しかし・・・・・またもツキが味方せず。この3人目の交代を行った直後に、チームナンバーワンの走力を誇る右ウイングバックの山田拓巳が脚を攣ってピッチ外へ。山田自身は無理を押してその後にピッチに戻るが・・・・

 山形が10人になった状態の85分。クリアボールを繋ぐガンバのカウンターが始まるも、宇佐美や倉田が1本のロングパスをパトリックに合わせるのと違って、遠藤は冷静に横パスでプレスを剥がす事を選択。ショートパスながら、1人少ない相手のスペースが空いた所、空いた所へと展開。するとバイタルエリアの中央のスペースが空き、そこに宇佐美が入って来たタイミングで遠藤も抜け目なく宇佐美の足下へ的確なパス。フリーで前を向いた宇佐美のミドルレンジからの右足シュートはブロックに入った相手DFに当たってゴールに吸い込まれ、値千金の追加点となり、3-1に。

 それ以降はガンバがリンス、明神と功労者的選手を交代カードで切って投入し、危なげなく試合を締める、まさに”勝利からの逆算アプローチ”をコンプリート。

ガンバはJ2へ降格した2年前にも天皇杯では決勝まで進出しているため、“J1昇格後1年目”を誇張する必要はないとは思いますが、見事な3冠達成となりました☆

起承転結とは”起”と”結”があって成立する~GKとFWの補強成功、セットプレーの強さも常套手段

 よく文章を構成したり、プレゼンや交渉をする上で“起承転結”で構成枠を作ってメリハリをつけろ、とは言いますが、サッカーでコレを例えると、“起”結”が得点に直結する結果である攻撃と守備のようなに置き換えられ、文章構成で色合いやアクセントをつけるという意味では“承”“転”は中盤に置き換えられるのではないか?と思います。

 今季のガンバは勝利を逆算して結果を得るため、持ち味の“承”“転”に当たるMFよりも、GKに東口を補強し、FWにもパトリックという“起”“結”の補強に大成功。時に防戦一方に陥っても、時にロングボールが多い単発な攻撃になっても、“結”を勝ち取って来ました。

 面白い事に、日本語の文章では起承転結は“起”から順番に書いて行きますが、英語は「S+V+O+C」という基本文法の構成があり、“起”の次には“結”を先に書きます。また、同様にプレゼンや交渉事でも先に“結”論を提示しないと、ダラダラとした出口のない一方通行の演説となってしまいがち。

 つまり、今のガンバはダラダラとパスを回して、“承”(アクセント)と“転”(美学)に溺れてしまうよりも、常に攻守両面でゴールを意識して“結”果を取りに行くチームになったと言えるのではないでしょうか?

 また、何よりも結果を取るためで言えば、西野朗監督時代のガンバが名古屋グランパスや浦和レッズという共に元日本代表CB田中マルクス闘莉王がいたチーム相手に、自分達のCKなどのセットプレーで、「闘莉王か増川狙って蹴ってるのか?」と揶揄されそうなセットプレーの無策さは、遠藤が14アシストを記録した多くはCKからと改善。
 同様に、セットプレー守備では180cmを超える選手がシジクレイ(現コーチ)しかおらず、ニアサイドに彼を立たせて中央までの全域を1人でカヴァーするゾーン守備ではなく、現在は高さが売りのようになったチーム編成では、この日や浦和戦のようなセットプレーを跳ね返してのカウンターから得点ができるまでに改善。

やはり、強化部のスーパーなバックアップも含めて、クラブとしての総合力で勝ち取った3冠という事になるのでしょう。僕はガンバサポーターではありませんが、素直に祝福したいと思います。ガンバ大阪の皆様、おめでとうございます。

 この3冠により、数億円未到達である新スタジアム建設募金も、ボーナスで支払う個人だけでなく、法人融資も増えて満額到達することでしょう。そして、宇佐美が昨季のガンバ復帰戦となるヴィッセル神戸戦で2ゴールを挙げた後のインタビューで語った「新たな時代を作る」事が現実になっていくのでしょう。

では、最後に個人採点をお楽しみ下さい☆

<選手個人採点>