イギリスの新聞『メトロ』に掲載された記事が日本の複数のサッカーサイトに載っていたので知っている人も多いかもしれないが、ロシア国内2部リーグの所属するクラブのうちカリーニングラードにある「バルティカ・カリーニングラード」とウラジオストクにある「ルチ・エネルギア・ウラジオストク」がそれぞれのホームへ移動するには、
片道直線で15000kmを距離を旅しないといけないというのである。
カリーニングラードはもともと東プロイセンと言われた地域の都市でプロイセンはその後ドイツとして統一されたので元々はドイツ領だった。しかし第二次世界大戦でソ連に負けたため、同地域はソ連とポーランドに編入された。
現在はソ連が消滅し、周辺国は独立してしまったため、ロシアからみて飛び地になっている。
一方ウラジオストクは日本海に面する都市。
元々は中国領だったが1890年アロー戦争に負けた清と英仏露と結んだ北京条約によりロシアに割譲された沿海州にある都市である。
ロシアは東西にユーラシア大陸の北部に長い領土を持っているので、こうした事例が出ても致し方ないが、
ロシア・プレミアリーグならしょうがないだろうが、2部以下のリーグではさすがに地域で分割するとかするのが現実的であろう。
ところでこの記事を取り上げたのは、日本も他人ごとではないからだ。
いやいや日本自体はいくら南北に長いといっても、たかがしれているが
日本の上部団体、アジアサッカー連盟(AFC)がかねてからこのことを問題視していたからである。
西はパレスチナ(ガザ地区)東はオーストラリア。
ざっくり言えば地図上のロシアの下側がだいたいAFC加盟国と言ってもいい。
こうしたことからAFC加盟国同士の試合、特にワールドカップ予選で比較すると
他の大陸連盟よりも負担が高いのではないかと言われていた。
そこでかねてから分割することが検討されてきた。
ただ分割にはリスクもある。
それは規模の縮小によるレベルの低下と資金の不足である。
AFCの強豪国は西と東に偏っていて、中央部分は空白に近い。
しかし東西を分離すれば中東勢と東アジア勢が公式戦で戦うことがなくなる。
競技レベルの意地や強化について考えれば明らかにマイナスである。
また資金面で見ると、オイルマネーの損失があれば東アジアはかなり打撃を受けけることになる。
もちろんオイルマネーにはさまざまな副作用が大きいが、
果たしてACLと同規模の大会を継続していけるであろうか。