逆にウエストブロムは試合前の段階ですでにリーグ13位という位置が勝っても負けても決まっており、なおかつアウェイでの試合という事もあって、リーグ戦14ゴールを記録するFWサイード・ベラヒーノを最前線に置く<4-1-4-1>でスタートしました。
試合の方はモチベーションの低下からか、ウエストブロムのボール際への寄せが遅く、逆にFAカップ決勝へ向けてアピールしたい選手達がいるアーセナルが速いパスワークで圧倒。全く相手にボールを触れさせないテンポの速さでした。特にボランチの位置からスペイン代表MFサンティ・カソルラが、トップ下のドイツ代表MFメスト・エジル、右サイドからはMFウィルシャーと「3人のプレーメイカー」が相手守備の隙を窺いながら華麗で軽快なパス交換を魅せました。
4分、バイタルエリアでエジル→ウィルシャー→カソルラとパス交換している間に、ぺナルティエリア内でプル・アウェイの動きによりマークを外したウォルコットへパスが通り、ウォルコットがワントラップで右45度から右足を一閃したシュートが逆サイドネットのトップコーナーを貫く豪快な一撃が決まってアーセナルが先制。1-0。
14分、右サイドからエジルがウィルシャーとのワンツーでエリア内に侵入。DFと交錯してボールがこぼれるも、フォローしたウォルコットがボールを浮かしながらDFを交わし、ゴール前至近距離からトーキックでGKを破って2点目となるゴールを流し込み2-0に。
17分、右CKからのこぼれ球をエリア内でガブリエルが拾って浮き球で落とすと、そのボールの落ち際を左足で振り抜いたウィルシャーのミドルレンジからのシュートが豪快に決まるビューティフルゴールとなり追加点。3-0。
37分にはウィルシャーがドリブルとアレクシス・サンチェスとのワンツーでバイタルエリアを崩してエリア内に侵入。左のカソルラへ流し、カソルラがゴール前へ詰めるウォルコットに丁寧に流し込んだ折り返しをウォルコットが確実に押し込んでハットトリックとなるゴールを決めて4-0。流れるようなフットボールとはまさにこの事で、漫画「キャプテン翼」のようなゴールでした。
相手のプレスが弱いとはいえ、ホームで3戦連続無得点の消化不良を解消するアーセナルらしいパス&ムーヴからの大量得点。アーセナルの4点リードで前半を折り返しました。
FA杯連覇へ向けて見極めたいテストを全て解決
後半、ウエストブロムが明らかにピューリス監督に叱責されたであろう事が顕著なほど、開始から一気にプレッシング。GKにまで圧力をかけて来る前線プレスにより、やや面食らったか。また、長期離脱明けのウィルシャーは前節も前半は躍動しても後半はボールに絡めなくなるなどスタミナ面には問題があるため、この日もその影響から前半ほどの躍動感あるプレーは鳴りを潜めました。
さらにウエストブロムはDFのオルソンに替えて、FWアニチェビを投入。<4–1-4-1>から<4-4-2>へ変更し、ロングボールやアーリークロスを前線に早いタイミングで放りこむ事で徐々に陣地を回復。57分には右CKからマコーリーの高い打点のヘッドで1点を奪って、4-1に。
やや限りが見え始めたアーセナルは温存していたフランス代表FWオリヴィエ・ジルーとウェールズ代表MFアーロン・ラムジーを投入。スピードのウォルコットとは違って高さのジルーという正反対の1トップが入る事で攻撃に変化を出しました。ジルーは直接ボールに触るプレーは少なかったものの、ラムジーが流れの中から良いタイミングでポスト直撃のシュートや、ループシュートで連発するなど、温存された主力選手も前半にアピールした選手達に負けずと好プレー。
さらに3月以来戦列を離れていたイングランド代表MFオックスレイド・チェンバレンもラスト10分間プレーした事で、おそらくFAカップ決勝へ向けて試しておきたいテストを全てこなした上で4-1と快勝。