「得点を取りたい、ゴール数をもっと増やしたいというのがあって、それを一番実現できるのがこのチームだと思った。魅力的なサッカーをする川崎にあこがれて加入を決断した」
衝撃的、且つ、的確な発露だった。この言葉は、今季からガンバ大阪を離れて川崎フロンターレへと加入したMF阿部浩之が川崎の入団会見で語ったモノだ。
攻撃サッカーの表看板を背負っていたはずのG大阪よりも、「魅力的なサッカーをする」「ゴール数をもっと増やしたい」という阿部自身の要求を「最も実現できるチーム」は、川崎だったのだ。
阿部の言葉は正しかった!11月18日、等々力競技場にて行われた明治安田生命J1リーグ第32節、川崎 VS G大阪はスコアこそ1-0だったものの、川崎がシュート数で26対3、(1部の報道では25対1本という数字も)、ボール支配率でも川崎が62%とG大阪を大きく圧倒した末の勝利だった。
阿部は2014年にJ1復帰元年となったG大阪で、「史上初のJ1昇格初年度の3冠」という大偉業に大きく貢献した攻撃的MFで、この試合にも先発出場した彼は負傷離脱した期間があったものの、流動的な攻撃を仕掛ける川崎でレギュラーに定着。ここまでリーグ26試合の出場で9ゴール。キャリアハイのゴール数を記録しながら、並行して自己ベストの6アシストも記録している。そんな阿部の言葉だからこそ、“深さ”があったのだ。
翌週、G大阪はホーム最終戦でも今季からJ1に昇格して来た北海道コンサドーレ札幌を相手にも0-1の完封負け。最終節を残して今季のリーグ戦を負け越すことが決まり、10位に低迷している。
新システム&遠藤が希望した“ピボーテ”
今季のG大阪はFWの不足が顕著で、開幕前から補強の必要性を問われ続けていた。反面、それを戦術面で補うため、日本代表史上最多の国際Aマッチ152キャップの記録を持つMF遠藤保仁をDFラインの前に置く、“アンカー・システム”に本格的に挑戦することを明言しており、稀代の司令塔の新境地開拓ぶりを楽しみにするニュートラルなファンも多かったはずだ。