さて、AFCの決勝戦第1節ですが、ウェスタン・シドニーはつい最近まで小野伸二がいたチームで、小野が加入する前はまだ弱小の部類に入るチームでした。
そんなチームも遂にAFCの決勝戦を戦えるまでになったわけですから、小野の功績も大きかったのでしょうし、彼が抜けただけで、やっているサッカーが全く違ったものとなっています。
前半は両チーム共に0-0で折り返したのですが、試合が動いたのは後半の19分でした。バイタルエリアでボールを持った7番のラビノット=ハリティが左サイドを上がっていた35番のアントニー=ゴレクに叩き、そのアントニー=ゴレクがダイレクトで相手GKとDFの間へセンタリングを上げたところに、9番のトミ=ユリッチが飛び込み、ダイビングヘッドでゴールに叩き込みました。
このとき、二人のDFはボールだけを見ていた為に、後ろから迫って来るトミ=ユリッチに気が付いておらず、それどころか、センタリングのボールが落ちる瞬間は止まってしまっていました。
これはボールウォッチャーと言われていますが、中東のクラブチームには多く見られることです。
ウェスタン・シドニーは勿論、こういったデータを持っていたでしょうし、狙ったプレイだったのでしょう。
サイドからゴール前にボールを上げれば、ボールしか見ない選手の場合、ゴール前に進出して来る選手は見えず、成功率が高いプレイとなります。
もしこれが、センターからのボールであれば、たとえボールしか見ない選手でも、前からやって来る選手の動きは見えることとなりますので、成功率は下がるでしょう。
しかし、ホームでの試合ということですから、ウェスタン・シドニーは、何とかもう1点取っておきたかったところです。それが出来なかったのは、特に前半は、試合の主導権をアルヒラルのほうが握っていたからです。攻撃は最大の防御。という言葉もあるように、後半は受け身になった為、DFの拙さを付かれて失点してしまったのです。
前半の守勢をよく凌いだウェスタン・シドニーのDF陣との差が出た試合でした。
アル・ヒラルもう勝つしかないですから、アゥエーの次節はより一層攻勢を掛けることが予想されますし、中東勢の攻撃を凌ぎ切ることは容易ではありませんので、ウェスタン・シドニーが勝つ為には、守備を固めつつも、とにかく相手のGKとDFの間にボールを入れて、飛び込むことが一番でしょう。