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国際親善試合、イランVS日本~ピッチ内外で貴重だったマッチメイク

ピッチ内外で貴重だったマッチメイクとしては最適な試合

【国際親善試合】
イラン1-1日本
得点者
<イラン>(45+2分、PK押し込み)
<日本>武藤(48分)

3連勝でW杯2次予選首位浮上、選手層拡充へ先発5人変更も

 今回の代表メンバー発表では、今年初頭にオーストリアのレッドブル・ザルツブルグへ移籍し、今季は控えからスタートしながらも得点ランキング2位に入るほどゴールを量産して大活躍をしている20歳のFW南野拓実を初招集。また、右SBの酒井宏樹が負傷離脱しており、サンフレッチェ広島で3バックの右を担う攻撃的なDF塩谷司が代表復帰。負傷が癒え、今季から所属するハノーファーで10番を着るMF清武弘嗣、浦和レッズで今季のJ1リーグ第1ステージ優勝へ導き、年間勝点の1位も目前となっている司令塔MF柏木陽介も3年半ぶりに代表復帰。とはいえ、塩谷は26歳、清武は25歳、柏木が27歳。負傷明けの清武はまだしも、本来なら彼等は代表でも中心になっていなければいけない年齢の選手で、新戦力ではなく、実質の新戦力は20歳の南野のみといったメンバー選考となりました。

 そんな中、W杯2次予選はカンボジアとアフガニスタンに連勝した事で、第3戦を終えて2勝1分。対戦相手となるシリアが3戦全勝している中、グループ1位通過のみが最終予選へストレートインのレギュレーション上、もし敗れた場合は、まさかの最終予選への進出すらできない事態になる、という「絶対に負けられない戦い」どころか、「絶対に勝たなければいけない戦い」という試合を迎えた日本の先発メンバーはアフガニスタンに大勝したイレブンから怪我の酒井宏樹に替わって、酒井高徳が右SBに入り、CBには森重真人に替わって、前の試合では負傷で出場を回避していた槙野智章が入る“従来のメンバー”で日本は0-3で快勝。やっとW杯2次予選のグループリーグで首位へ浮上しました。

 そのシリア戦から5日後、オマーンからイランへ移動して中央で迎えたアウェイ戦を強化試合に、FIFAランクでアジア最高位となる39位のイランをマッチメイクした協会は“ファインプレー”。そんなイラン戦の先発メンバーには結果だけが求められる公式戦ではないため、今後へ向けた戦力拡充のためにシリア戦から先発メンバーを5人変更する、というヴァヒド・ハリルホジッチ監督にとっては「リスクを冒す」起用法。

 とはいえ、新たに先発に”抜擢”されたというよりも、槙野に替わってCBに入る森重真人はお互いにポジションを争う主力同士。23歳の柴崎岳、宇佐美貴史、武藤嘉紀の“プラチナ世代トリオ”は今までチャンスを与えられながらも結果を残せていない若手(23歳を若手と表現したくないが)。敢えて“抜擢”という表現を用いる事が出来る左SBでの起用となった米倉は27歳。ただ、米倉は代表デビューとなった東アジア杯の中国戦で驚愕的なプレーの連続で異彩を放ってアシストまで記録した選手なだけに、米倉に期待を持って筆者は観戦に入りました。

シリア戦と同様の課題を露呈した前半

 試合の方はホームのイランが、5日前のシリアと同様に球際の強さを活かすプレッシングを仕掛けて来た事で、日本はまたも試合の主導権を握れずに後手に回る厳しい試合展開に。前半の日本の攻撃は皆無に近く、初シュートは27分の長谷部誠のミドルシュートまで待たなければならず。前半の日本のシュートはコレと40分頃の本田のミドルシュートが大きく外れモノの2本のみでした。

 イランのフィジカルが強かったとはいえ、別にフィジカルコンタクトで勝負しているわけでもない日本の選手にとっては技術面という違う土壌で“違い”を発揮すれば良いところでしたが、技術やスピードを発揮するための最低限のフィジカルすら不足しているのか?あるいは、中東の環境やアジアレベルとはいえ、W杯常連国との対戦になって経験値が不足しているのか?前半の日本では特に香川真司・柴崎岳・宇佐美貴史・米倉恒貴は全く相手と闘えていませんでした。特にボールが来ても前を向こうともしないMFが多過ぎた事や、本田圭佑には密着マークが付いており、明らかに狙われているのにボールを預けようとしている、というのも理解に苦しむプレーの連続だったように思います。

 それでも、この日のメンバーの中では成熟している吉田麻也と森重真人のCBコンビがチャレンジ&カヴァーの連携が緻密に出来ていたため、イランの執拗なサイド攻撃、アーリークロスとロングスローによる空中戦も何とか跳ね返していました。30分以降にはイランに決定機が続出。それも何とか寸前にクリアして均衡を保っていましたが、前半のアディショナルタイムでした。

 イランのMFトラビが左サイドからのドリブル突破でぺナルティエリア内に侵入。日本が数的優位にある状況でしたが、トラビに股抜きを食らってエリア内に侵入されたからか?冷静さを失って意固地になってしまった吉田が脚を引っ掻けてしまい、PKを献上。このPKをプレミアリーグやブンデスリーガで活躍したイランFWデジャガが左隅を狙ったキックをするも、“新守護神”GK西川周作がビッグセーブ。しかし、大きくこぼれた球をトラビに反応され、右足で押し込まれ、日本は先制を許してしまいました。
 
 そのまま前半が終了し、日本が1点ビハインドで折り返しました。