後半開始早々にG大阪・宇佐美の密集地帯での繊細なボールタッチとワンツーからエリア内に侵入されて決定機を与えるも、それが外れると前半よりも積極的に試合を運ぶようになった広島ペースに。54分には右サイドからミキッチのクロスにニアで佐藤が潰れて中央の柴崎が飛び込む決定機。相手DFの懸命のブロックに遭ったものの、ここまでで試合内容・スコア共にプラン通りに進行している事がさらに明らかに。
57分、両チームが共に最初の交代カードを切る。G大阪がMF大森晃太郎に替えて、MF倉田秋。広島は「必殺リレー」の寿人に替えて、浅野がピッチに登場。このままでは優勝できないG大阪の心理的状況を察したかのように、「60分まで1点ビハインドなら」の条件が整った浅野の投入は広島にとっては”ショートケーキに添える苺”だった。
投入直後にクリボールを収めた浅野が左サイドからG大阪CBコンビをその圧巻のスピードで続けざまにブッチ切って突破。日本代表DF丹羽大輝が手を使った胡散臭い対応でPKにはならなかったものの、浅野投入の効果は前がかりになるG大阪にとっては驚異だった。さらに67分、広島が右サイドのミキッチに替えて、第1戦の逆転決勝ゴールを挙げたMF柏を投入すると、トップ下から左サイドMFに配置が変わっていたG大阪・宇佐美が柏の積極果敢なドリブルに対しての守備対応を強いられる事でG大阪の攻撃を単発化させる事に成功。
そうした処方箋が効いて来た76分だった。広島のカウンターが発動。清水が倒れ込みながら繋いでドウグラスがタメを作り、右のオープンスペースに駆け上がった柏へ。狙い済ました右足クロスがゴール前へ放り込まれると、佐藤寿人のような動き出しでマークを外した浅野がヘッドで合わせたシュートが日本代表GK東口順昭の守るゴールへ吸い込まれ、2試合合計4-3となる値千金のゴールが決まる。
この失点により、優勝するには2得点が必要になったG大阪は、1週間で3試合目だった疲労の色が体力的にも精神的にも諸に露呈して完全に失速。途中投入されたFWパトリックへ単純なハイボールを放り込むだけのバリエーション不足はACL準決勝で広州恒大、ナビスコカップ決勝で鹿島アントラーズに敗れた際にも露呈された課題。
結局、G大阪はその後も浅野1人に振り回される後方の不安定さもあり、まともに得点機を作る事も出来ずに試合は終了。全ては広島のゲームプラン通りで、手の内で頃が転がされていただけだった。
4年間で3度目のリーグ制覇 コンセプトが浸透した広島の強さ
これで広島は4年間で3度目のJ1リーグ年間優勝。1つの時代のように感じる輝かしい結果ではあるものの、なぜか広島に“強豪”というイメージが付かなかったり、2012年と2013年を連覇した事をサッカーファンですから覚えていない・・・のも珍しくないのはJリーグが抱える問題だ。
2012年に大幅な減資をして経営規模を縮小し、毎年のように代表クラスの主力選手を流出している。それも海外ではなく国内クラブへの移籍だ。