ロッソ・ネロ、イタリア語で赤黒という意味であり、そのカラーがシンボルであるACミランの愛称である。そこのエースナンバーである10番を背負うのが本田圭佑である。過去、早々たる顔ぶれが10番を背負ってきた。その歴史は史上最高のファンタジスタと呼ばれるジャンニ・リベラに始まり、フリット、サビチェビッチ、ボバン、ルイ・コスタ、セードルフ、ボアテング、そして本田と継承されている。
昨シーズン、本田が加入してすぐにアッレグリ監督は解任、暫定監督のタソッティ、そして現役時代に10番を背負っていたセードルフ監督と監督の交代劇に本田は巻き込まれ、本人の不調と重なり、チームも本田自身も良いパフォーマンスをすることができなかった。監督になるために選手生活から引退したセードルフは監督経験がなく、結果ビッグクラブには相応しくない8位という結果でシーズンを終わった。そして、セードルフ監督は半年で解任。セードルフと同じく、ミランの英雄であるインザーギが新監督になった。しかし、再びトップチームでの監督経験がない指導者を起用したというところが、ミランが落ち目だということを表しているのではないのだろうか。
私は2007年にチャンピオンズリーグを優勝した黄金期のミランを見ており、ACミランというチームが一番好きであるが、その10番を背負うのに本田は相応しいのだろうかと疑問に感じている。それでなくてもミランにはワールドクラスの選手が過去と比べて少なくなっている。今ではワールドクラスといえる選手はバロテッリぐらいだろう。
結果もミランが落ち目だということを証明している。プレシーズンマッチではオリンピアコス、マンチェスター・シティに大敗。本田は右サイドで出場したがインパクトは残せなかった。インザーギ監督の戦術では今のところ本田の主戦場であるトップ下ではプレーさせてもらえないだろう。本田は早く他のポジションに適用しなければならない。それができない限り、戦力が十分ではないミランと本田の行方は、昨シーズンと同じで良い結果にはならないだろう。インザーギ監督、そして本田圭佑がどのようにパフォーマンスを上げてくるかが今シーズンのひとつの楽しみである。