ハリルJAPAN2戦目となったウズベキスタン戦に大勝し、お祭りムードが漂う日本。宇佐美、柴崎、川又といった新戦力にもゴールが生まれ、日本代表が新たなサイクルへと突入した事を感じさせられた。
就任して間もない段階で迎えた2試合を2−0、5−1と危なげないスコアで勝ち切ったハリルホジッチには一定の評価が与えられるが、内容に目を向けるとどうだろう。
これでハリルJAPANが機能したと考えるのは早計であり、スコアに惑わされずに欠点を追求してみたいと思う。
☆ハリルJAPANの守備を見極める3つのポイント
ハリルJAPANのテーマを簡潔に表せば、「縦に速い攻撃」と「高い位置から仕掛ける激しいプレス」の2つになる。この2つのテーマを軸とするハリルホジッチのサッカーを見るうえで、最も大切なのは守備→攻撃への切り替えだ。相手に激しくプレスをかけてボールを奪い、そして縦へ素早い攻撃を仕掛ける。
縦に素早く仕掛ける攻撃を分かりやすく言えば、相手の陣形が整う前に攻め落としてしまおうという事になる。出来る限り高い位置でボールを奪い、相手に戻る時間を与えないほどの速度でカウンターを仕掛けるのが1つのテーマなのだ。この時の守備→攻撃への切り替えにまずは注目していただきたい。
では、ハリルホジッチ・サッカーの1つ目の課題となる「前線からのプレス」。これはウズベキスタン戦で実行できていたのだろうか。結論から言うと、出来ていなかった。ウズベキスタンの戦い方と日本の守備がハマらなかった事もあるが、やはり日本はまだまだプレスの強度が甘い。
当然プレスを外されれば自陣にスペースを作る事となってしまい、ピンチになりやすい。高い位置からのプレスは狙い通りにボールを奪えれば良いが、奪えなかった時は最悪の状況を生み出す諸刃の剣とも呼べる戦術なのだ。
今回の2試合で目立ったのは、サイドバックのプレス位置だ。前線からボールを奪う事をテーマにしているだけに、ウズベキスタン戦でサイドバックに入った内田と酒井の位置は高かった。サイドバックがDFラインから離れてプレスをかける守備法は世界でも取り入れられており、そこまで珍しい事ではない。
しかしサイドバックのプレスをかわされれば、当然サイドにスペースを与える事となる。そしてウズベキスタン戦での日本は、何度か内田と酒井の後方を利用されてしまっている。その時にサイドのケアに走るのはボランチの役割となるのだが、ハリルホジッチはチュニジア戦とウズベキスタン戦でダブルボランチに守備的な選手を使っている。
チュニジア戦では長谷部と山口、ウズベキスタン戦では今野と青山、そして途中交代の水本だ。ハリルホジッチが司令塔の柴崎をボランチで起用せず、守備にファイト出来る選手をボランチに採用した事からも、プレスをかわされた場合に広範囲をカバーできる守備専任のタイプを求めている事が分かる。
ウズベキスタン戦では相手にプレスをかわされる回数が多かったうえに、サイドを利用される事が非常に多かった。毎回のようにカバーに走った青山は終盤にはかなり疲れており、W杯のような短期決戦では90分間をフルで戦い抜くのは難しい。
つまり青山らボランチに負担がかかっていたという事は、日本の守備はそれほど機能していなかったという事になる。では、なぜ機能しなかったのか。