ぷら~り欧州蹴球場百景【28】スタッド・ドミニク・デュヴォシェル / クレテイユ

写真のクロード・モネ作品は国立新美術館の告知看板。計10章にて構成される中の四章『パリ近郊、セーヌ河畔の豊かな自然を舞台に繰り広げられる作品の数々』とあるが、そもそもパリ近郊とは何処までが近郊なのか?

先日、このサイトの運営会社Orfool副社長である新井氏から教育関連の記事をリライトできるかと依頼があり、任せなさいとばかり短時間で仕上げたが、基の原稿があまりにも浅く、面白くなくかったので、もう一歩踏み込んだらクライアントは「新規記事みたいですね」と感想を漏らし当然のごとくボツった。はなからリライトの域を越えているのは重々承知。自分は不向きなのかもしれない。
教育関連の話題ならば ♯26 日本人が知らないアーセナル その七 グローバリズム にてアーセナルの取り組みのひとつ、ギャップイヤープログラムにふれている。
〈知識偏重の日本の教育では高校卒業から大学入学までに社会勉強をするギャップイヤーを重視していません。最近ようやく国内最高峰の東京大学が休学を推奨するようになったぐらいですから。〉

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ジャイキリが掲載されるモーニング(講談社)にドラゴン桜の続編連載が始まったのでこちらも楽しみ。
日本の東大、ロンドンならケンブリッジ、パリはソルボンヌと名門の代名詞となっているが、実際にソルボンヌ大学は存在せず5区パンテオン広場にあるのはパリ第一大学(政治・経済・法律・哲学)。東京ディズニーランドが都内になく東京近郊DLなのと同様に、パリにないパリ大学も。フランス代表の国際試合が行われるサンドニ市には、芸術のパリ第8、地理・社会の第10は宮殿で御馴染みヴェルサイユ、そしてパリ南東部の郊外、パリメトロ8号線のクレテイユ=ユニヴェルシテクレテイユ駅近くにある第12大学も医科・法律・経済の各学部を有する。8号線の始発及び終点駅は2011年10月開通したポワント・デュ・ラック駅。改札を出ればすぐに運動公園があり、公園内のスタッド・ドミニク・デュヴォーシュルはUSクレテイユ・リュシタノスの本拠地である。
プレス席はガラスで仕切られており、リュックを降ろしてまずワンショット。ガラスにおぼろげに写っている東洋人の姿はけして心霊現象ではないのでご安心召され。

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2015-16シーズに二部から降格して昨季からは全国選手権。そして現在位と四部降格の危機的状況にあるUSクレテイユ。訪問した昨年4月7日USブローニュ戦のマッチデープログラムは、何故か白色だが本来のチームカラーはこちらのブルー。

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2014年に制作されたフランスのドキュメンタリー映画「Les Héritiers(後継者たち)は「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」の邦題で2016年夏に日本国内でも公開された。

貧困層が暮らすクレテイユのレオン・ブルム高校。様々な人種が集まりトラブルが絶えなかった生徒達が、アウシュビッツ強制収容所での生活を経験した生存者との出会いをきっかけに変わっていく。出演したアハメッド・ドゥラメAhmed Draméが自身の体験を映画化すべく脚本を手掛けた。
その名前を目にして聞いたことのある名前だと思ったが、9年前にマドリッドで見たプレーヤーはモハメッド・ディアメMohamed Diamé。2013年のブラジル大会予選当時セネガル代表の主将を務めていたデフェンシブハーフ。彼はクレテイユで生まれ、中学年代をクレールフォンテーヌ国立センターで過ごした。現在はニューカッスルユナイテッド所属。ロシア大会、セネガル代表招集は確実視されるが、日本代表の前に立ちはだかるのか。

この写真は393号線のバス乗り場。観光客で沸き返るパリ中心部とのギャップは大きく、確かにパリではない。既にヴァラロントン市は目と鼻の距離。こ流れで白人しか写ってなければ話にならない。腰を降ろしたおやっさんが、イイ味を出してくれて感謝。


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マリ代表のサミー・トラオレは、この街で生まれこのクラブでデビューし既に引退している。2009-10シーズンのUEFAカップ、決勝トーナメント(ベスト32)1回戦。ヴォルフスブルグは右サイドハーフに長谷部、後半には大久保がピッチに投入されたがPSGのゴールを割れず0-2で終了のホイッスル。ホームの第二戦は長谷部の先制ゴールで1点差に詰め寄り後半頭から2枚変えで大久保投入。しかし采配は実らず逆に3点を奪われ敗退。PSGはベスト16でブラガを破るがベスト8にて終着。当時PSGのセンターバック13番を背負っていたのがトラオレだった。


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