ぷら~リ 欧州蹴球場百景【88】スタッド・ヴェロドローム / マルセイユ

Jリーグでは神戸が補強の成果を。バルサ化計画らしいが、日本のパリ·サンジェルマンが誕生するのも悪くない。今季のリーグ・アンは27節終了、本家は2位リールに14ポイント差をつける独走状態。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)は今季も悔し涙を飲む結果となったが、来シーズンの出場も既に補償されたようなもの。


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今このリーグで熱いのはCL出場権を賭けた3位争い。オリンピック·リヨンとオリンピック·マルセイユ(OM)の差は3。この週末で追いつく可能性も。


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第88景はスタッド・ヴェロドローム。現在はフランスの大手通信企業・Orangeが命名権を取得しているので「オレンジ・ヴェロドローム」と呼ぶべきか。酒井宏樹の活躍で日本人の観客も増えたのではないだろうか。


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昨日発表された日本代表メンバー、大活躍の香川真司をはじめ、宇佐美貴史、小林祐希、昌子源あたりは順当。アジアカップで酒井不在時は1勝3敗1分、復帰した途端1分を挟んで5連勝ではOMが手放すはずもない。酒井以上にチームを牽引するのはフランスで完全復活したマリオ·バロテッリ。2月8日24節のディジョン戦からゴールがなかったのはスタッド·レンヌ戦のみ。5試合中、4試合で4ゴール。


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しかもこの4試合がすべて白星(レンヌ戦はドロー)、貢献度は高い。紙面は4位OMがスタッド·ヴェロドロームで5位サンテティエンヌを下した翌日のレキップ。

マルセイユ市の観光キャッチフレーズは「300 sunny days per year!」この映像にも当然名所としてヴェロドロームの観客席が登場する。
300日の快晴と地中海をイメージさせるスカイブルーのユニフォームにオレンジ色のロゴもしっくり馴染んできた。

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アジアカップでは、カタール、ベトナムのニューウェーブ台頭を傍目に停滞する中国について北京空港で質問された。
第85景ではポルトガルでプレーした中国人の名前を挙げたが、アジアカップの中国代表は国内でプレーする選手のみ。実際にそのプレーを目にしたことは・・・・一人いた。上海上港所属の石柯=シ·ケは2010年にアムステルダムで開催されたAegon フューチャーズカップでU17中国代表の一員としてアヤックスB(17)との決勝戦に出場。この試合はフレームに収めた。(4人の壁の横、ゴール側を向いているのがシ·ケ)


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バイエルン·ミュンヘンを下しての決勝進出と結果だけは残したが、フィジカルに頼った時代遅れのサッカーを見せられ、同じアジア人としての恥ずかしさより悲しくなったのは覚えている。


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中国もこれまで手を子招いていただけではなく様々な施策を打ち出してきた。
但しその多くが的外れ。今回中国代表が日本代表に優っていたのは体格のみ。一昨年ユース世代の海外派遣の選考基準に身長180㎝以上と明記され、世界の笑いものとなった。

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イタリア時代プレー以外でも超有名人となっていたバロテッリは兎も角、OMはこれまで個性派、異端児を多く輩出してきたクラブ。
ギャンガンから移籍してきた2003-04シーズン、リーグ・アンMVPの栄誉を獲得したディディエ・ドログバ。ガラタサライから2005-06シーズンに加わったフランク·リベリーは同年の最優秀若手選手に選出されている。


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中でも筆者の好みは、この連載でも再三取り上げるマテュー・ヴァルブエナ。身長を理由にボルドーを去った男は、シューズの販売員をしながらアマチュアリーグでプレーした苦労人。三部、二部を経て2006年にOMと契約し8年間プレーした。


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公式な測定データがないので、あくまで個人的な見立てではあるが、現在フェネルバフチェに在籍する彼は現役のワールドカップ経験者で最も足が短いフットボーラーだ。そして第二位は日本代表の長友佑都だろう。この二人より低身長のプレーヤーはいるかもしれないが、股下は長いはず。


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この夢の対決が実現かと思われた2012年3月チャンピオンズリーグ準々決勝のインテル対OM戦。右サイドに張ったヴァルブエナの対面はキブ。ヴァルブエナのコーナーキックからアンドレ・アイェウの劇的な決勝弾。下馬評を覆し前々年度王者をOMが退けている。ちなみに次の準々決勝はリベリーのバイエルンに敗退。


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そして同年10月13日サンドニで日本代表の歴史的勝利。対面の長友をかわしてヴァルブエナがあげたクロスをゴミが一度下げてジルーが左脚を振りぬく。これを川島が最初の神セーブ。リベリーの左コーナーキックから浮き球をヴァルブエナがペナルティエリア外から右足。ワンバウンドして弧を描いたボールが枠を捉えるも川島神がかりセーブ連発。


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そしてリベリーからキッカーを譲られたヴァルブエナ。こぼれたボールに今野が反応して歴史的なゴールが生まれた。この勝利で日本全土がブラジルで躍進するザックジャパンを夢見たが、現実はドログバに直視させられる事に。


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現在は共にイスタンブールのクラブに所属し次回の対戦は4月第二週。68景に紹介したフランスでビールといえばクローネンブルグ1664。トルコのケバブとあわせて掲載。


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アムステルダムで期待された世代が脱落する中、着実に成長しA代表入りしたシ·ケ。2012年杭州緑城ユースに移籍、そこで彼を抜擢したのは岡田武史監督。現在は浙江緑城とクラブ名は変わっているが、業務提携するFC今治から派遣された指導者が小·中·高年代の育成を支援してているので、近い将来第二のシ·ケが現れるのかもしれない。【八十八景了】

文/撮影:横澤悦孝 モデル:Mayu