『東欧サッカークロニクル』に収録されているのは2002年から2014年にかけて取材·発表されたルポルタージュ。
1992年の学生クイズ王が東海銀行=現・三菱UFJ銀行に就職しながら、ほんの数年前の独立戦争で1万人以上の死者を出した国へと移住。言語をマスターして前述の悪の軍団と大冒険。その経歴とストーリーには池井戸潤:Jun Ikeido【1963年6月16日生】氏も半沢直樹も唖然とする。
長束氏自身、巻末では日本人がプレーしたことのないリーグのほうが珍しくなったと記している。実際UEFAチャンピオンズリーグの華やかな舞台と凡そかけ離れた旧東欧諸国のリーグに、リスクも顧みず果敢に挑む若者達が間断なく続く。日本人のイメージを変えている彼らの背中を押しているのは実はこの一冊かもしれない。[第44話了]
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■写真/テキスト:横澤悦孝 ■モデル:AKARI