前巻で予告した10月20日のスパレッティ率いるローマとアウストリア・ウィーン戦は下馬評を覆し、墺ブンデスリーガで4位のクラブがセリエAで首位ユヴェントに対抗する強豪と勝ち点1を分け合った。
残り10分を経過しての二失点には、スパレッティも自慢(?)のスキンヘッドを抱え込んだに違いない。
この日は、奇しくもイタリア勢とウィーンの2強がヨーロッパリーグで対戦。筆者はラピドとサッスオーロが対戦したアリアンツ・スタディオンへと足を運んだ。現在UEFAヨーロッパリーグに参戦する伊4クラブ。ASローマ、インテル、フィオレンティーナと並ぶと地味ではあるが、サッスオーロに注目せざるを得ない理由がある。
迎えた10月20日ヨーロッパリーグ(EL)・グループF第三節。
プレスに手渡されたスターティングメンバー表が、ボスマン判決以前の時代を懐古させる。ホームのラピドに所属する外国籍で名が記されたのはアイルランド人、クロアチア人、ブラジル人の三名のみ。それ以上に驚かされたのがサッスオーロの11人。最終ラインを支える20番ポル・リオラ(上写真中央)しかイタリア国籍以外の名前が見当たらない。
初戦はバスク純血主義で知られるビルバオとこの“少々スペイン混入ながらほぼイタリア純正国産”のサッスオーロが対戦。そして二節のゲンク戦に続きこの日もリオラはフル出場を果たしている。DFながらビルバオ戦の先制ゴールによって欧州での注目度を一気に高めたかもしれない。
1点をリードされた後半、この日控えにまわった背番号11番のフランス人FWグレゴワール・デフレル(上写真)を投入したエウゼビオ・ディ・フランチェスコ。8分後オウンゴールではあるものの前半優位にあったホームチームの勢いを止め、アウェーで貴重な勝ち点1を持ち帰った彼もイタリアらしい知将の一人である。
ELで共に引き分けた両クラブが対戦。フランチェスコはマトリの後にデフレルと縦のツートップ、4-4-1-1の陣形で挑んだ。前半リードで折り返したが、各国の代表クラスを揃え名将が率いる首都の強豪は猛反撃に。コリエレ・デッロ・スポルト紙も大きく紙面スペースを割いた。
そして今週は続けて一方の雄ラツィオと対戦すべくオリンピコに乗り込む。前半はスコアレスから後半2失点。それでもデフレルのゴールで一度は息を吹き返したのだが・・・
リオラはユヴェントスが保有する右サイドバック。1997年生まれの19歳、将来A代表入りが期待される逸材はイタリアで磨かれている。今季ユヴェントスに移籍したダニエウ・アウヴェスは既に33歳。その後継者が白黒縦縞のユニフォームを身に纏っている可能性も低くはない。