長靴の国で観た異邦人たち 十八の巻【アヤックスの前に立ちはだかるビアンコ・ネロの俊英たち】

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昨年10月18日リヨンで観たユヴェントスU19のスタメンの半数以上は外国籍。前巻に続き長靴の国で観ていない長靴の国のクラブの異邦人たち。

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2015年3月28日ボードゥアン国王競技場でのユーロ予選。本大会でも優勝候補と目されるであろうベルギー代表はエーゲ海の小島、キプロス代表を粉砕。80分にバチュアイのゴールでスコアは5-0。その4分後錚々たるプレミアリーガーの顔が並ぶピッチ上で17歳の若武者が対峙した。そして昨年9月6日ワールドカップ欧州予選グループH、GSP スタジアム18歳の背番号20はトップ下の位置でベルギー代表を前に試合開始のホイッスルを聞く。10月のギリシャ戦以降フル出場。11月3日のジブラルタル戦では念願の代表初白星に貢献した。

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前巻のロマン・マツェックと同じくのJEEP Tour 2016=豪州・香港遠征に参加した期待のティーンエイジャーがグリゴリス・カスタノス1998年1月30日生まれ。間もなく19歳の誕生日を迎える。ユヴェントスのキプロスがエーゲ海に飛びスカウトした時彼は16歳だった。

リヨン戦、プレスに配られた用紙ではトップ下と表示されているが、この日は低い位置からゲームを組み立てる地味な役割。3点目のゴールをアシストした背番号4の主将シモーネ・ムラトーレとポジションを入れ替わる時間が長かった。

ツートップはアンディ・ゼチリとメヘディ・レリス。

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ゼチリはローザンヌ・スポルトからのレンタル中。1999年6月スイス・ローザンヌ出身。2015年5月トップチームでデビュー。当時のローザンヌはチャレンジリーグ(2部)とはいえ、大人に交じって中学生がプレーした当時から将来を嘱望されている。
昨季は14試合に出場して2ゴール、スーパーリーグ(一部)昇格を決めたチームにおいて貴重な戦力に。今季の開幕直後にはカップ戦に2試合に出場してゴールを決めていた。
レリスは1998年5月フランス南西部モン=ド=マルサン出身のアルジェリア系。地元のスタッド・モントワの育成機関からキエーボ・ベローナで一年を過ごし今季ユヴェントスとプロ契約を結んだ。

共に180を超える長身。この日はゼチリが中央に、レリスが左サイドに開く役割。試合は序盤に山場を迎える。スルーパスに反応したゼチリが抜け出してゴールキーパーと一対一。堪らず横から相手ディフェンダーが肘で突き倒して赤札一発退場。

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A代表キャップ保持者の貫録でキッカーを任されたカスタノスがまさかのミスキックで枠を捉えず。34分にファブリツィオ・カリガラのミドルで待望の先制。ゴールを決めるとカリガラ(18番)とレリスがこちらに突進してきたのでシャッターを切った。反対側TVカメラの映像に心霊写真の霊にしか見えない自分の姿が確認できる。

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54分にはカリガラとの連携で相手センターバックを前後で挟み、ボールを奪ったゼチリにビックチャンス到来。しかし利き足の左足から放たれたシュートには切れ味がない。

61分レリスが試合を決定づけた。相手退場者による数的優位でマーカー不在、どフリーで決めて当然とはいえ右からの浮き球を右足のジャンピングボレーと難易度の高い美技であることは認める。
それにしてもこのチームとアヤックスがベスト16を賭けて対戦するのは早過ぎてあまりにも勿体ない。