欧州蹴球文化探訪 第二十一巻 蘭国三都物語 アルクマールを歩き回るな

UEFAヨーロッパリーグ予選も3回戦に突入。新加入選手との連携がどうとかコンディションがこうとか言ってられない。欧州では真剣勝負が既に始まっている。

UEFAヨーロッパリーグ予選3回戦注目カード

 ここから欧州トップリーグのクラブチームが参戦し注目も高まる。予選突破はノルマ、グルーブステージをクリアして決勝トーナメントを目指す列強。昨シーズンのリヨンのように足元を救われる危険性も充分にはらんでいる。

 来日時川崎フロンターレに格の違いを見せつけたボルシア・ドルトムント(ドイツ)。

 純血主義でおなじみアスレティック・ビルバオ(スペイン)。

 ミハイロビッチに代わりワルテル・ゼンガを新指揮官に迎えたUCサンプドリア(イタリア)、オランダからも常連AZアルクマールとフィテッセ・アーネムが名乗りを上げる。
 フィテッセとロナルド・クーマンが率いるサウサンプトンFC(イングランド)の対戦は注目度No.1か。

ディズニーランドが東京を名乗るならばアルクマールもアムステルダムと名乗れる距離

 煉瓦造りの美しい街並みではあるが、正直アムステルダムとさほど変わりはないというのがアルクマールの第一印象。アルクマールは歩くより自転車を借りるのがお薦め。但しライトを点灯していないと警察に「御用」とお縄にかかるのがオランダなので注意。


[AFASスタディオン]

 アムステルダムの北側40キロに位置するので、東京駅から国内隋一の人気クラブ浦和レッズの本拠地さいたまスタジアムに行くのと変わらない。

 そしてアルクマールの人口は10万人に満たない。

 しかしAFASスタディオンの収容数は1万7千人である。さいスタは6万4000人で超満員になったとしても、さいたま市の人口が125万人なので、来場者数/地元人口=5パーセントに過ぎない。

 AFASスタディオンは20%弱だから、(アウェーのサポーターは無視して)仮にスタンドに空席がなければ、計算上はアルクマール市民の5人に1人がスタジアムに居ることに。更に無茶を承知で言うなら、さいたま市民がアルクマール市民と同等にフットボール観戦を好むならば、さいたま市は25万人規模のスタジアムが必要になる。

 何となくではあるが「ようはオランダ人がフットボール好きと言いたいのね」・・・伝われば幸い。

 筆者がAZアルクマールなるクラブチームの存在を知ったのは1992年の夏、後に浦和レッズの監督にも就任したハンス・オフトの日本代表チームとの対戦である。当時のアルクマールは二部のチームで結果や内容は、昔のことで記憶にない。
 
 チームカラーの赤色に塗られたAFASスタディオの外壁は、マイスターシャーレとその左に白文字で1981-1982、2008-2009と記されており、栄光の記録を留める。

 昨年のアルクマールはPSV、アヤックスに次いで3位でエールディビジをフィニッシュ。この成績は上位2クラブとの年間予算を比較するならば、賞賛に値する。
 
 現在アルクマールを指揮するのはファン・デン・ブロム。

行政機能が集約されたハーグは国内第三の都市。かつて戸田和幸氏も所属したADOデンハーグは低迷が続いていた。激怒したサポーターがフェンスを乗り越え監督に掴みかかろうとした暗黒時代もあり、2007年に完成したスタジアムは、ロッテルダムと同じくピッチと客席の間に堀がある。