筆者がヘルシンキに滞在していた5月20日、日本では文藝春秋からエマニュエル・トッド著/堀茂樹訳「ドイツ帝国が世界を破滅させる日本人への警告」が発刊された。紹介文には『EUとユーロは欧州諸国民を閉じ込め、ドイツが一人勝ちするシステムと化している。(略)かつての悪夢が再び甦るのか?』
敗戦国の日本と異なりロシアなど戦勝国は終戦70周年が祝賀ムードに包まれる。そこでは現在「正」のイメージしかないドイツの古傷、「負」の歴史が蒸し返される。『ドイツの一人勝ちするシステム』は現在のGDP数値が証明しているが、『悪夢が再び甦るのか』・・・この表現は著者がフランス人であることの証明か。
そこでドイツと昨冬訪問したイタリアをテーマに取り上げたのが第二の巻。実際イタリアでは今になっても、否、今だからこそドイツ批判を度々耳にする。
オピニオンの記事にはヴェローナで警官に声をかけられた件(くだり)を加えたが、警官以外では高校生ぐらいの男の子達からも「ナガトーモ」と声をかけられたので取りあえず(期待に応えて)もはやお約束の御辞儀をしておいた。しかしミラノでは今や日本人選手も日本人のファンも珍しくもない時代。オリジナルテキストはミラノ万博で締め括ったが9月に入り来場者も増加傾向、9月5日には初めて20万人/日をオーバーの大盛況。日本館も好評でジャパンデーのイベントでは、きゃりーぱみゅぱみゅのライブが特に注目を浴びたらしい。
ミラノを訪問した日本人女性は「パミュパミュ」と声をかけられているかもしれない。(了)